会社設立を頼む司法書士の選び方。料金だけで選ばないための六つの見方
この記事は、こういう方に向けて書いています
会社設立を司法書士に頼むと決めていて、どの事務所にするかを選んでいる方に向けた記事です。料金表をいくつか見比べているが、金額以外に何を見ればよいのかが分からない、という段階を想定しています。
料金は大事ですが、それだけで選ぶと困ることがあります。実費が含まれているか、追加費用の条件はどうか、設立後のことも相談できるか。
この記事では、料金以外に見るべき六つの点を整理します。実費の金額は2026年8月22日に一次情報で確認したものです。報酬は各事務所の公式ページでご確認ください。
料金だけで選ぶと、何が起きるか

会社設立を頼む司法書士を、料金だけで選ぶとどうなるか。あとから金額が変わることがあります。
いちばん多いのが、実費が含まれていなかったという場合です。「会社設立9万8,000円」と書かれていても、それが報酬だけなら、株式会社では16万7,000円前後を足すことになります。
次に多いのが、追加費用です。事業目的の数が多い、現物出資がある、急ぎの対応を求める。こうした場合に加算されることがあります。
そして、範囲が違うという場合。定款の作成が含まれていない、認証の手続きは自分でやる、登記完了後の書類の受け取りは自分で。範囲が狭ければ料金も安くなります。

これは事務所が悪いという話ではありません。料金ページには条件が書かれていることがほとんどです。読まずに申し込むと、こうなるということです。
会社設立の費用の相場を比べるときは、含まれている範囲を揃えることが先です。金額を並べるのはそのあとです。
以下、料金以外に見るべき六つの点を挙げます。
出典会社設立代行は自分で手続きするより安い?0円のサービスについても解説! (マネーフォワード/2026年8月22日確認)
見方①:実費が含まれているか

ひとつ目が、実費の扱いです。いちばん先に確かめてください。
実費は、登録免許税、定款認証の手数料、定款の謄本代、収入印紙、証明書の交付手数料。法律や政令で金額が決まっています。2026年8月22日に一次情報で確認した金額です。
株式会社なら16万7,000円前後、合同会社なら6万円。これが含まれているかどうかで、支払う総額が変わります。
| 表示 | 意味 | 株式会社での支払総額の目安 |
|---|---|---|
| 「9万8,000円(税込・実費別)」 | 報酬だけ | 9万8,000円+16万7,000円=26万5,000円ほど |
| 「25万円(実費込み)」 | 実費と報酬の合計 | 25万円 |
| 「9万8,000円」(注記なし) | 不明 | 問い合わせて確かめてください |
※ 報酬の金額はこの記事での例示です。実際の金額は各事務所の公式ページでご確認ください。
この表のとおり、同じ「9万8,000円」でも意味が違います。注記がなければ、問い合わせて確かめてください。
そして、実費はどの事務所に頼んでも同じ額です。比べる意味があるのは報酬だけで、相場という言葉が使えるのもそちらだけです。
見積りを取るときは、「実費込みの総額で出してください」と伝えるのが確実です。そうすれば、そのまま並べて比べられます。
会社設立の費用の相場を調べていると、25万円や30万円といった数字を見かけます。これは実費込みの数字であることが多いようです。報酬だけの数字と混ぜないでください。
見積りを並べるときは、表を作ってしまうのが早道です。左の列に事務所名、右に「実費」「報酬」「追加費用の有無」「総額」を並べる。実費の行はすべて同じ数字になりますので、その時点で比べるべき列がはっきりします。
そして、総額が出たら設立後の一年ぶんも足してみてください。法人住民税の均等割は標準税率で年7万円、赤字でもかかります。設立時に数万円の差があっても、一年目の総額で見れば割合は小さくなります。
出典商業・法人登記申請手続 (法務局/2026年8月22日確認)
見方②:追加費用が発生する場面

ふたつ目が、追加費用です。料金ページの小さい文字に書かれていることが多い部分です。
追加費用が発生する場面としてよくあるのが、次の五つです。

表示されている料金は、標準的な会社設立を前提にしたものだと考えてください。条件が標準から外れると、加算されることがあります。
自分の条件が標準から外れそうなら、見積りの段階で伝えてください。「発起人が3人います」「事業目的を15個書きたい」と言えば、その前提の金額が返ってきます。
あとから加算されると、予算が狂います。会社設立の費用の相場を調べて予算を組んでいても、追加費用は相場に入っていません。相場は標準的な条件の数字だからです。
追加費用の条件が書かれていない事務所は、その時点で比較の対象から外すという判断もあります。あとで金額が変わる可能性が高いからです。
出典会社設立を司法書士に依頼するメリットは?費用相場や他士業との違い、選び方を解説 (リーパル会計事務所/2026年8月22日確認)
見方③:対応の速さと、連絡の取りやすさ

三つ目が、対応の速さと連絡の取りやすさです。会社設立の日程に直結します。
会社設立の工程には、最低でも二週間ほどかかります。書類のやり取りが何度か発生しますので、そのたびに返信を待つ時間が積み上がります。
設立日を決めているなら、この時間が読めるかどうかが重要になります。
見積りを依頼したときの返信の速さは、ひとつの目安になります。問い合わせから何日で返ってくるか。申し込んだあとも、だいたい同じ速さになるはずです。
連絡の手段も確かめてください。メールだけなのか、電話も使えるのか、オンラインで面談できるのか。自分が使いやすい手段があるかどうかです。
遠方の事務所に頼む場合は、書類のやり取りが郵送になることがあります。そのぶん日数がかかります。電子で完結できるかどうかを確かめてください。
会社設立の費用の相場を数万円下げても、設立が一週間遅れて事業の開始が遅れれば、そのほうが損ということもあります。
料金ページには対応の速さは書かれていません。問い合わせてみて、その返信で判断するのが現実的です。
なお、急ぎの対応に応じている事務所もありますが、追加費用がかかることがあります。通常の日程で間に合うように、早めに動くほうが安く済みます。
出典会社設立にかかる期間はどれくらい?設立までの流れや期間について解説 (freee/2026年8月22日確認)
見方④:対応してもらえる範囲

四つ目が、対応してもらえる範囲です。範囲が違えば料金も違います。
いちばん狭いのが、登記の申請だけ。次が、定款の作成から登記まで。さらに広いのが、設立後の届出まで。
ただし、税務署への届出は税理士の業務です。司法書士だけでは完結しませんので、提携先の税理士が行うことになります。
許認可の書類作成は行政書士の業務です。建設業や飲食業などの許認可が必要な場合、司法書士とは別に依頼することになります(両方の資格を持つ方もいます)。
| 範囲 | 含まれる内容 | 確かめること |
|---|---|---|
| 登記の申請だけ | 法務局への申請の代理 | 定款は自分で作ることになります |
| 定款の作成から登記まで | 定款・認証・登記 | いちばん多い形です |
| 設立後の届出まで | 上記+税務署などへの届出 | 税理士との提携があるかどうか |
| 許認可も含む | 上記+許認可の書類作成 | 行政書士の資格または提携があるかどうか |
※ 業務範囲は司法書士法・行政書士法・税理士法によって定められています。複数の資格を持つ方や、提携している事務所もあります。
自分に必要な範囲を先に決めてから、それに対応している事務所を探すという順序が効率的です。
とくに、許認可が必要な事業なら、定款の事業目的の書き方が許認可の要件に絡みます。行政書士と連携している事務所を選ぶ価値があります。
会社設立の費用の相場を比べるときは、同じ範囲で並べてください。範囲が違う金額を並べても、比較になりません。
出典会社設立の手続きを司法書士へ依頼するには?委託できる範囲や費用を解説 (freee/2026年8月22日確認)
見方⑤:設立後のつながり

五つ目が、設立後のつながりです。会社設立は入口で、そのあとも登記が必要になる場面があります。
役員の任期が満了すれば重任の登記が必要です。本店を移転すれば移転の登記、事業目的を追加すれば変更の登記。いずれも登録免許税がかかります。
こうしたときに相談できる相手がいると、手続きがスムーズです。会社設立を頼んだ司法書士に、そのまま頼めるかどうかを確かめておく価値があります。
また、設立後には税務の届出があります。税務署、都道府県税事務所、市区町村。税理士との提携があるかどうかも、確かめておくとよい点です。
役員の任期の管理も、設立後の課題です。任期が満了しているのに登記を怠ると、過料の対象になりうる定めがあります。任期を知らせてくれる事務所もあります。
会社設立の費用の相場だけを見て事務所を選ぶと、設立が終わった時点で関係も終わります。それでよいなら構いませんが、長く付き合う相手を探しているなら、この点も見てください。
とはいえ、設立後に別の事務所に頼んでも構いません。「設立だけ安く頼む」という選択も、合理的です。
判断の材料は、自分が今後どれくらい登記を必要とするかです。役員が固定で本店も動かないなら、当面は登記の機会がありません。
逆に、事業の拡大にあわせて役員を増やす予定がある、支店を出す予定がある、増資を考えている。こうした計画があるなら、同じ事務所に継続して頼めるかどうかは判断材料になります。会社の登記の履歴を把握してもらえているぶん、やり取りが早く済みます。
なお、設立を頼んだ事務所に必ず続けて頼まなければならない、ということはありません。あとから別の司法書士に変えることもできます。そのときに困らないよう、定款や登記の書類は自分でも保管しておいてください。
出典No.5100 新設法人の届出書類 (国税庁/2026年8月22日確認)
見方⑥:資格の確認

六つ目が、資格の確認です。基本的なことですが、確かめられます。
設立登記の申請を代理できるのは、司法書士と弁護士だけです。行政書士も税理士も、登記の代理はできません。
代行サービスが窓口になっている場合、実際に登記を代理するのが誰かを確かめる価値があります。料金ページに書かれていないことがあります。
司法書士の登録は、各都道府県の司法書士会で確認できます。事務所の公式ページに登録番号が記載されていることも多くあります。
税理士については、日本税理士会連合会が運営する税理士情報検索サイトで、登録されている税理士を確認できます。設立後の税務を頼む相手を探すときに使えます。
これは事務所を疑うという話ではありません。確かめられることは確かめておくというだけです。会社設立は一度きりの手続きですし、金額も小さくありません。
そして、資格の有無は業務範囲に直結します。登記の代理ができない相手に登記を頼むことはできません。
会社設立の費用の相場を比べる前に、そもそもその範囲を扱える相手かどうかを確かめてください。
出典税理士情報検索サイト (日本税理士会連合会/2026年8月22日確認)
まとめ:範囲を揃えてから、六つを見る

会社設立を頼む司法書士の選び方を、まとめます。
- 実費が含まれているか。株式会社なら16万7,000円前後、合同会社なら6万円。「別途実費」の四文字を探してください。
- 追加費用が発生する場面。事業目的の数、発起人の人数、現物出資、急ぎの対応、作り直し。料金ページの小さい文字に書かれています。
- 対応の速さと連絡の取りやすさ。会社設立の日程に直結します。見積りの返信の速さがひとつの目安です。
- 対応してもらえる範囲。登記だけか、定款からか、設立後の届出まで含むか。税務は税理士、許認可は行政書士の業務です。
- 設立後のつながり。役員の重任、本店の移転、事業目的の追加。今後の登記を頼めるかどうか。
- 資格の確認。設立登記の代理ができるのは司法書士と弁護士だけです。
そして、見積りは同じ条件・同じ範囲で取ってください。「株式会社、電子定款、資本金100万円未満、発起人一人、登記まで、実費込みの総額で」と伝えれば、そのまま並べて比べられます。
実費の金額を整理します。いずれも2026年8月22日に一次情報で確認したものです。登録免許税は株式会社が下限15万円、合同会社が下限6万円。定款認証の手数料は1万5,000円から5万円。定款の謄本は1枚250円。紙の定款の収入印紙は4万円。
これらは改定されます。必ずリンク先の一次情報で確かめてください。
会社設立の費用の相場を比べるとき、報酬の部分だけが事務所によって変わります。実費は同じですので、比べる意味がありません。
この記事は一般的な費用の解説であり、特定の事務所をすすめるものではありません。報酬は各事務所の公式ページでご確認いただき、判断そのものは司法書士にご相談ください。
出典会社設立を司法書士に依頼した場合の費用相場を解説 (SoVa/2026年8月22日確認)
金額を揃えてから、それ以外を見てください
会社設立を頼む司法書士を選ぶとき、まず同じ範囲・同じ条件で見積りを揃えることから始めてください。範囲が違う金額を並べても、比較になりません。
そのうえで、料金以外の六つを見てください。実費の扱い、追加費用、対応の速さ、連絡の取りやすさ、設立後のつながり、資格の確認。ここで差がつきます。
この記事の実費の金額は2026年8月22日時点のものです。手数料も税率も改定されます。報酬は各事務所の公式ページでご確認いただき、判断そのものは司法書士にご相談ください。
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