会社設立の登録免許税が半額になる制度。特定創業支援等事業の条件と手順
この記事は、こういう方に向けて書いています
会社設立の費用を本気で抑えたくて、使える制度をひととおり知っておきたい方に向けた記事です。登録免許税が半額になる制度があります。
会社設立の費用の相場を調べていると、この制度の名前は出てくるのですが、条件と手順まで書いてある記事は多くありません。
この記事では、中小企業庁の情報をもとに整理します。内容は2026年8月23日に確認したものです。実施しているかどうかは自治体によります。必ず本店を置く予定の自治体にご確認ください。
市区町村の創業支援を受けると、登録免許税が半額になる

会社設立の費用を直接減らせる公的な制度が、ひとつあります。登録免許税の軽減です。
中小企業庁が案内しています。2026年8月23日に確認しました。
地方における創業を促進するため、産業競争力強化法に基づき、創業者にとって身近な存在である市区町村が「創業支援等事業計画」を策定しています。当該計画において定められた、市区町村が地域の支援機関と連携して実施する「特定創業支援等事業」を受けた創業者は、会社設立時に登録免許税の軽減措置を受けることができます。
— 中小企業庁「会社設立時の登録免許税の軽減について」
つまり、市区町村の創業支援を受けて証明書をもらえば、登録免許税が半額になるということです。
会社設立の費用の相場が株式会社で16万円台からであることを考えると、登録免許税15万円が7万5,000円になるのは大きい。

この図でわかるのは、会社設立の費用が半分近くになるということです。
電子定款で4万円を浮かせるより、この制度のほうが効きます。
以下、軽減される金額と、証明書をもらうまでの手順を見ていきます。
出典会社設立時の登録免許税の軽減について (中小企業庁/2026年8月23日確認)
軽減される金額は、通常の半額

軽減後の税率を、通常の税率と並べます。中小企業庁が表で示しています。2026年8月23日に確認しました。
| 設立形態 | 通常の税率 | 軽減措置適用後の税率 |
|---|---|---|
| 株式会社 | 資本金の額×0.7%(15万円に満たないときは1件につき15万円) | 資本金の額×0.35%(7.5万円に満たないときは1件につき7.5万円) |
| 合同会社 | 資本金の額×0.7%(6万円に満たないときは1件につき6万円) | 資本金の額×0.35%(3万円に満たないときは1件につき3万円) |
※ 中小企業庁「会社設立時の登録免許税の軽減について」(2026年8月23日確認)。
小さな会社なら、資本金の額×0.7%が下限額を下回るので、下限額が適用されます。
たとえば資本金100万円の株式会社なら、100万円×0.7%=7,000円。下限の15万円を下回るので、15万円が登録免許税です。
軽減を受ければ、100万円×0.35%=3,500円。下限の7万5,000円を下回るので、7万5,000円になります。
つまり、資本金が小さい会社ほど、下限額がそのまま効きます。
資本金が2,143万円を超えると、0.7%のほうが15万円を上回ります。そこからは、資本金に比例して増えます。軽減があれば、その半分です。
会社設立の費用の相場としてよく語られる金額は、下限額で計算されています。多くの会社が下限額に当たるからです。
だから、この軽減の効果は、株式会社で7万5,000円、合同会社で3万円と考えておけば足ります。
合同会社の会社設立の費用の相場が6万円台であることを考えると、軽減を受ければ3万円台になります。半分です。
出典会社設立時の登録免許税の軽減について (中小企業庁/2026年8月23日確認)
証明書をもらうまでの手順

証明書をもらうまでの流れを、中小企業庁の案内にそって整理します。2026年8月23日に確認しました。
- 創業支援等事業計画に基づき、認定市区町村や商工会・商工会議所、金融機関等の支援機関が実施する個別相談支援や複数回の授業を行う創業塾、創業セミナー等を受講する
- 創業に役立つ「経営・財務・人材育成・販路開拓」の知識・スキルを身につける
- 自治体が発行する「特定創業支援等事業」を受けた証明書を取得する
- 会社設立の登記の際に、その証明書を添付して軽減措置を受ける
ポイントは、「経営・財務・人材育成・販路開拓」の四つの分野を学ぶことが求められる点です。
多くの自治体では、この四分野をカバーする創業塾を用意しています。数回に分けて開催されるのが一般的です。
あるいは、個別相談を複数回受けるという形もあります。窓口で相談員と面談して、四分野を順に確認していく。

時間がかかるのが、この制度の一番のコストです。創業塾が月1回の開催なら、四回受けるのに4か月かかることもあります。
会社設立を急いでいるなら、この時間が取れません。
逆に、準備期間に余裕があるなら、使わない手はありません。7万5,000円が浮きます。
出典会社設立時の登録免許税の軽減について (中小企業庁/2026年8月23日確認)
時間と金額を天秤にかける

この制度を使うかどうかは、時間と金額の交換として考えてください。
浮くのは、株式会社で7万5,000円、合同会社で3万円。確実に浮きます。補助金と違って審査で落ちることはありません。
かかるのは、創業塾や個別相談に使う時間です。数回の受講で、合わせて10時間から20時間ほど。それに、日程が合うまでの待ち時間。
- 浮く金額(株式会社)
- 7万5,000円
- 浮く金額(合同会社)
- 3万円
- かかる時間
- 10時間から20時間ほど。日程によっては1か月以上
- 確実性
- 要件を満たせば確実です。審査で落ちることはありません
ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。この制度を使えば、会社設立の費用が半分近くになります。
そのかわり、会社設立が遅れます。創業塾の日程が合わなければ、数か月待つことになります。
事業を始めるタイミングが決まっているなら、遅らせるコストのほうが大きいことがあります。取引先との契約が始まる、店舗の引き渡しがある。
会社設立の費用の相場を7万5,000円下げるために、事業の開始を2か月遅らせる。それが得かどうかは、事業によります。
それから、創業塾そのものに価値があるという見方もできます。経営、財務、人材育成、販路開拓。会社設立の前に学んでおいて損はありません。
特に、財務の知識は設立後にすぐ必要になります。役員報酬の決め方、消費税の判断、決算の流れ。この記事で扱ってきたような論点です。
そう考えると、7万5,000円をもらいながら勉強できるとも言えます。
出典小規模企業支援 | 中小企業庁 (中小企業庁/2026年8月23日確認)
この証明書は、ほかの制度でも使えることがある

特定創業支援等事業の証明書は、登録免許税の軽減だけに使うものではありません。
補助金の申請で、この証明書が要件になっている区分があります。小規模事業者持続化補助金の創業者向けの区分などです。
公募の回によって要件が変わるので、その年の公募要領で確認してください。全国商工会連合会が公募情報を掲載しています。2026年8月23日に確認しました。
それから、信用保証協会の創業関連保証でも、この証明書が使えることがあります。無担保保証の枠が広がる、といった扱いです。
- 登録免許税の軽減会社設立の登記で使います
- 補助金の申請要件になっている区分があります
- 信用保証創業関連保証の要件が緩和されることがあります
- 自治体の創業助成金要件になっていることがあります
つまり、一度取れば何度か使える可能性があるということです。
会社設立の費用の相場を7万5,000円下げるためだけに時間を使うと思うと重いのですが、そのあとの制度でも使えるなら、見え方が変わります。
ただし、どの制度で使えるかは、その時点の要件によります。「使えるはずだ」と思い込まずに、必ず確認してください。
それから、証明書には有効期限のような扱いがあることがあります。取得してから何年以内、といった条件です。
会社設立の直前に取るのが、一番無駄がありません。
会社設立の費用の相場を調べる段階で、この制度の存在を知っておく。それだけでも意味があります。
出典小規模事業者持続化補助金(一般型) (全国商工会連合会/2026年8月23日確認)
自治体が実施しているかを、最初に確かめる

この制度を使うには、本店を置く予定の市区町村が創業支援等事業計画を策定している必要があります。
していない自治体では、証明書を出せません。制度そのものが存在しないことになります。
確認方法は簡単です。自治体のホームページで「特定創業支援等事業」を検索するか、産業振興の担当課に電話する。
電話なら、「特定創業支援等事業の証明書は出していますか」と聞くだけです。無料です。
それから、中小企業基盤整備機構が運営する支援情報のサイトでも、地域の支援制度を探せます。2026年8月23日に確認しました。
ここで注意したいのが、本店をどこに置くかという判断との関係です。
隣の市では制度をやっているのに、住んでいる市ではやっていない。そういうことは起こりえます。
ただ、制度のために本店所在地を変えるのは本末転倒です。バーチャルオフィスを借りれば数千円かかりますし、実態と違う場所に本店を置くのは別の問題を生みます。
会社設立の費用の相場を7万5,000円下げるために、月5,000円のバーチャルオフィスを別の市で借りる。1年で6万円ですから、ほとんど相殺されます。
自然な場所に本店を置いて、そこで制度があれば使う。それくらいの構えでよいでしょう。
確認は無料で、5分で済みます。それだけはやっておいてください。
出典支援情報ヘッドライン | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト] (中小企業基盤整備機構/2026年8月23日確認)
軽減を受けるときの、登記の手続き

証明書をもらったら、会社設立の登記のときに添付します。
登記申請書に、通常の添付書類に加えて特定創業支援等事業の証明書を付けます。それで登録免許税が半額になります。
自分で登記を申請する場合も、司法書士に頼む場合も、証明書を渡せば処理してもらえます。
注意したいのは、登記の申請より前に証明書を取っておく必要があるという点です。あとから「実は証明書がある」と言っても、遡って還付されるとは限りません。
会社設立のスケジュールを組むときに、証明書の取得を最初に置いてください。
- 自治体が実施しているかを確認する
- 創業塾や個別相談に申し込む
- 支援を受けて、証明書を取得する
- 定款を作り、認証を受ける(株式会社の場合)
- 証明書を添付して登記を申請する
この順番です。定款を作ってから証明書を取ろうとすると、待ち時間が発生します。
会社設立の費用の相場を調べている今の段階で、自治体への確認だけ先にやっておく。それが一番効率的です。
ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。自分で登記を申請すれば、司法書士の報酬5万円から10万円が要りません。
そのかわり、添付書類の不備で差し戻されることがあります。証明書のような特殊な書類があると、なおさらです。
補正のために法務局へ行き直すことになれば、時間がかかります。そこは自分の慣れと相談してください。
出典よくあるご質問等<商業・法人登記関係>:法務局 (法務局/2026年8月23日確認)
まとめ:確実に7万5,000円。ただし時間がかかる

特定創業支援等事業による登録免許税の軽減について、まとめます。
- 市区町村の特定創業支援等事業を受けて証明書をもらうと、登録免許税が半額になります
- 軽減後は資本金の額×0.35%。株式会社は最低7.5万円、合同会社は最低3万円
- 創業塾や個別相談で、経営・財務・人材育成・販路開拓の四分野を学びます
- 1か月以上かかることがあります。急ぐなら使えません
- すべての市区町村が実施しているわけではありません
会社設立の費用の相場は、株式会社で16万円台から、合同会社で6万円台から。軽減が使えれば、株式会社で9万円台、合同会社で3万円台になります。
- 浮く金額
- 株式会社で7万5,000円、合同会社で3万円
- かかる時間
- 10時間から20時間ほど。日程によっては1か月以上
- 確実性
- 要件を満たせば確実。審査で落ちることはありません
- 最初にやること
- 自治体が実施しているかの確認。電話1本、無料です
会社設立の費用を下げる方法の中で、これが一番効果が大きい。電子定款の4万円より上です。
そして、確実です。補助金のように採択されないということがありません。
ただし、時間がかかります。会社設立を急いでいるなら、使えません。
それから、会社設立の費用より大きいのは設立後に毎年かかる費用です。均等割は赤字でも年7万円、社会保険の会社負担は役員報酬のおよそ15%。
この記事の内容は2026年8月23日時点のものです。制度は自治体によって異なります。必ず本店を置く予定の自治体にご確認ください。
出典会社設立時の登録免許税の軽減について (中小企業庁/2026年8月23日確認)
時間と、7万5,000円の交換です
この制度を使うには、市区町村の支援を受ける必要があります。創業塾への参加や複数回の窓口相談が要件になっていることが多く、1か月以上かかることもあります。
会社設立を急いでいるなら、その時間と7万5,000円を天秤にかけてください。急がないなら、使わない手はありません。
この記事の内容は2026年8月23日時点のものです。制度は自治体によって異なります。必ず本店を置く予定の自治体にご確認ください。
この記事のタグ
この記事は判断の材料になりましたか?