会社設立の資金は借りるのか、もらうのか。創業融資と補助金の違い
この記事は、こういう方に向けて書いています
会社設立の資金をどう用意するかで迷っている方に向けた記事です。融資と補助金の違いがはっきりしていないと、どちらを検討すればいいのかがわかりません。
会社設立の費用の相場は、株式会社で16万円台から、合同会社で6万円台から。その先の運転資金まで含めると、桁が変わります。
この記事では、二つの違いと使いどころを整理します。内容は2026年8月23日に確認したものです。制度は変わります。必ず最新の情報をご確認ください。
融資は借りるお金、補助金はもらうお金

創業融資と補助金は、まったく別のものです。混同すると、探す場所を間違えます。
融資は借りるお金。返します。利息もつきます。そのかわり、審査に通れば確実に手元に入ります。
補助金はもらうお金。返しません。そのかわり、審査があり、採択されないこともあります。そして、後払いです。

会社設立の費用の相場を調べている段階では、どちらも直接は使えません。
融資は、会社が存在しないと受けられないのが原則です。会社設立の登記が終わってから申し込むことになります。
補助金は、事業のための支出を対象にしています。登記の費用は対象外になるのが一般的です。
だから、会社設立の費用は自己資金から出す。これが基本です。
以下、それぞれの中身を見ていきます。
なお、この三つ以外に出資という方法もあります。投資家から資金を受け入れて、株式を渡す。返済は不要ですが、会社の一部を手放すことになります。
会社設立の費用の相場を調べているような段階で出資を受けるのは、業種が限られます。急成長を狙う事業でなければ、投資家の側に理由がありません。
多くの小さな会社にとっては、自己資金と融資の組み合わせが現実的です。補助金は、そこに少し足すもの。
出典創業融資のご案内|日本政策金融公庫 (日本政策金融公庫/2026年8月23日確認)
創業融資は、条件が優遇されている

創業期の融資は、条件が優遇されています。日本政策金融公庫が案内しています。2026年8月23日に確認しました。
対象は、新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方です。
この方々は、原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できます。
さらに、利率が一律0.65%引下げ。雇用の拡大を図る場合は0.9%の引下げです。
返済期間も長い。設備資金は20年以内(うち据置期間5年以内)、運転資金は原則10年以内(うち据置期間5年以内)とされています。
- 無担保・無保証人創業期は原則としてこの条件です
- 利率の引下げ一律0.65%。雇用の拡大を図る場合は0.9%
- 設備資金の返済期間20年以内(据置期間5年以内)
- 運転資金の返済期間原則10年以内(据置期間5年以内)
据置期間というのは、元金の返済を待ってもらえる期間です。利息だけを払います。
会社設立の直後は売上が立たないので、この据置期間が効きます。5年以内という設定は、かなり長い。
会社設立の費用の相場が株式会社で16万円台からであることを考えると、融資で調達する金額はそれよりずっと大きいでしょう。
日本政策金融公庫の調査では、開業時の資金調達額は平均1,219万円。うち金融機関等からの借り入れが平均827万円で67.9%です。2026年8月23日に確認しました。
会社設立の費用は、その1%から2%。融資で調達する金額の中では、小さな項目です。
それから、融資の審査では事業計画を見られます。何をして、どう売上を立てるのか。数字で示す必要があります。
日本政策金融公庫は、創業計画書の書き方や業種別のポイントをまとめたページを用意しています。2026年8月23日に確認しました。無料で使えます。
会社設立の費用の相場を調べる時間があるなら、この事業計画を作る時間に回したほうが、金額としてははるかに大きい。
出典創業融資のご案内|日本政策金融公庫 (日本政策金融公庫/2026年8月23日確認)
融資を受けるには、会社が存在している必要がある

融資には、順番があります。会社設立の登記が終わってからでないと、法人としての融資は受けられません。
だから、会社設立の費用は自己資金から出すことになります。融資で払うということはできません。
個人事業として融資を受けてから法人成りする、という順番もありますが、手続きが複雑になります。

この図でわかるのは、会社設立の費用を払う時点では、まだ融資を受けていないということです。
だから、会社設立の費用の相場である16万円台から20万円ほどは、自分で用意しておく必要があります。
日本政策金融公庫の調査では、開業時の自己資金は平均279万円でした。2026年8月23日に確認した数字です。会社設立の費用は、その中の数%です。
ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。資本金を小さくすれば、用意する自己資金は減ります。
そのかわり、創業融資の審査で自己資金の額を見られます。資本金が極端に小さいと、事業への本気度を疑われることがあります。
それに、運転資金がありません。設立の翌日から役員借入金で回すことになります。
会社設立の費用を抑えることと、資本金を削ることは別の話です。混ぜないでください。
資本金は会社の中に残るお金です。払い込んでも消えません。会社設立の費用の相場に資本金を足して「100万円かかる」と計算してしまう方がいますが、出ていくのは会社設立の費用のほうだけです。
そして、資本金1,000万円を超えると消費税の免税が受けられず、均等割も年7万円から年18万円に上がります。そこは意識しておいてください。
出典あなたの創業は、どこから? │ START 政策金融公庫の創業支援 (日本政策金融公庫/2026年8月23日確認)
補助金は、事業を始めてから使う

補助金は、事業のための支出を対象にしています。
代表的なのが小規模事業者持続化補助金です。全国商工会連合会が公募情報を掲載しています。2026年8月23日に確認しました。
対象になるのは、販路開拓のための取り組みです。チラシ、ホームページ、展示会、店舗の改装。
会社設立の登記費用は、販路開拓ではありません。だから対象になりません。
そして、補助金は後払いです。先に自分で払って、実績を報告して、それから入金されます。
| 項目 | 創業融資 | 補助金 |
|---|---|---|
| 返済 | 必要です | 不要です |
| 入金の時期 | 審査後、比較的早い | 事業をやったあと。数か月後 |
| 確実性 | 審査に通れば入金されます | 採択されないことがあります |
| 会社設立の費用 | 対象外(会社設立後の融資) | 対象外(事業の支出ではない) |
| 向いている場面 | 運転資金、設備投資 | 販路開拓、設備投資 |
※ 2026年8月23日時点の一般的な内容です。制度によって異なります。
この表でわかるのは、どちらも会社設立の費用には使えないということです。
補助金が効いてくるのは、会社設立が終わって、事業を伸ばす段階です。焦って探す必要はありません。
ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。補助金を使えば、事業の費用の一部が戻ってきます。
そのかわり、申請と報告に手間がかかります。事業計画書、見積書、実績報告。合わせて何日もかかります。
そして、採択されないこともあります。かけた時間は戻りません。
会社設立の費用の相場を調べる時間と同じで、費やす時間に対して戻ってくる額を見てください。
それから、補助金には補助率と上限額があります。対象経費の3分の2、あるいは2分の1というのが一般的で、全額は出ません。
対象経費が100万円で補助率3分の2なら、戻るのは66万円ほど。残りの34万円は自分で払います。会社設立の費用の相場の2倍近い金額です。
だから、補助金があるからといって使う金額を増やすのは危険です。手元から出ていくお金は、確実に発生します。
出典小規模事業者持続化補助金(一般型) (全国商工会連合会/2026年8月23日確認)
会社設立の費用そのものに効くのは、登録免許税の軽減

融資でも補助金でもなく、会社設立の費用そのものを減らせる制度があります。登録免許税の軽減です。
中小企業庁が案内しています。産業競争力強化法に基づき市区町村が策定した創業支援等事業計画において定められた「特定創業支援等事業」を受けた創業者は、会社設立時に登録免許税の軽減措置を受けられます。2026年8月23日に確認しました。
軽減後の税率は資本金の額×0.35%。株式会社なら最低7万5,000円、合同会社なら最低3万円です。
株式会社なら7万5,000円、合同会社なら3万円が減ります。

この図でわかるのは、三つはまったく別のものだということです。
会社設立の費用を減らしたいなら、登録免許税の軽減。事業の投資を支えてほしいなら、補助金。運転資金が要るなら、融資。
会社設立の費用の相場が株式会社で16万円台からであることを考えると、軽減で7万5,000円が減るのは大きい。45%です。
そして、これは確実です。要件を満たせば、審査で落ちることはありません。
ただし、市区町村の支援を受ける時間が必要です。1か月以上かかることもあります。
出典会社設立時の登録免許税の軽減について (中小企業庁/2026年8月23日確認)
自己資金をいくら用意するか

会社設立の資金として、いくら自己資金を用意すればよいか。
日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」によると、開業時の資金調達額は平均1,219万円。うち自己資金が平均279万円で22.9%です。2026年8月23日に確認しました。
開業費用そのものは、平均975万円、中央値600万円。分布を見ると、250万円未満が20.1%、250万円から500万円未満が21.7%で、合わせて4割以上が500万円未満です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 開業費用の平均値 | 975万円 |
| 開業費用の中央値 | 600万円 |
| 資金調達額の平均 | 1,219万円 |
| うち自己資金の平均 | 279万円 |
| うち金融機関等からの借り入れの平均 | 827万円 |
※ 日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2026年8月23日確認)。
この数字を見ると、自己資金は調達額の2割強というのが平均的な形です。
会社設立の費用の相場が株式会社で16万円台からであることを考えると、自己資金279万円のうちの6%ほど。
つまり、会社設立の費用は、資金計画の中では小さな項目です。
会社設立の費用の相場を数万円下げることに時間をかけるより、自己資金をいくら用意して、いくら借りるかを考えるほうが桁が大きい。
ただし、この調査の対象は日本政策金融公庫が融資した企業です。融資を受けずに小さく始めた人は含まれていません。金額は高めに出ていると考えられます。
小さく始めるなら、もっと少ない自己資金でも会社設立はできます。会社設立の費用の相場である20万円と、数か月分の運転資金があれば形にはなります。
出典新規開業に関する調査|日本政策金融公庫 (日本政策金融公庫総合研究所/2026年8月23日確認)
借りずに始めるという選択

融資を受けずに、自己資金だけで始めるという選択もあります。
会社設立の費用の相場が株式会社で16万円台から、合同会社で6万円台から。事務所を借りず、在庫も持たない業種なら、この金額で始められます。
そこに、設立後の固定費を足します。均等割は赤字でも年7万円、会計ソフトが年1万円から4万円ほど。
役員報酬を出さなければ、社会保険もかかりません。最小構成なら、年10万円ほどで会社を維持できます。
ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。借りなければ、返済の負担がありません。利息も払いません。
そのかわり、事業の規模が限られます。設備を買えない、人を雇えない、広告を打てない。
それに、信用の実績が積み上がりません。融資を受けて返した実績は、次に借りるときに効いてきます。
そして、運転資金が薄いと、売上の入金が遅れたときに止まります。取引先の支払いが翌々月なら、その間の資金が要ります。
会社設立の費用の相場だけを見て「20万円あれば始められる」と考えると、この運転資金を見落とします。
日本政策金融公庫の調査で開業費用の中央値が600万円なのは、運転資金と設備が含まれているからです。
会社設立の費用は、入口の数字。その先に、事業を回すためのお金があります。
出典会社設立の費用はいくら?株式会社と合同会社の維持費もわかりやすく解説 (freee/2026年8月23日確認)
まとめ:会社設立の費用は自己資金、その先は融資と補助金

会社設立の資金と制度について、まとめます。
- 融資は借りるお金。返します。創業期は無担保・無保証人、利率も一律0.65%引下げ
- 補助金はもらうお金。返しませんが、採択されないこともあり、後払いです
- 会社設立の登記費用は、どちらの対象にもなりません。自己資金から出します
- 会社設立の費用そのものを減らせるのは、特定創業支援等事業による登録免許税の軽減
- 自己資金は平均279万円。会社設立の費用はそのうちの数%です
会社設立の費用の相場は、株式会社で16万円台から、合同会社で6万円台から。軽減が使えれば、その半額近くになります。
- 会社設立の費用
- 自己資金から出します。融資も補助金も使えません
- 登録免許税の軽減
- 株式会社で7万5,000円、合同会社で3万円が減ります
- 創業融資
- 会社設立の後。無担保・無保証人、利率0.65%引下げ
- 補助金
- 事業を始めてから。販路開拓や設備投資が対象です
三つを分けて考えれば、探す場所を間違えません。
そして、会社設立の費用より大きいのは設立後に毎年かかる費用です。均等割は赤字でも年7万円、社会保険の会社負担は役員報酬のおよそ15%。
会社設立の費用を数万円抑えることに時間をかけるより、設立後に毎年出ていくお金をどう設計するかのほうが、総額では効いてきます。
役員報酬をいくらにするか、社会保険にいつ入るか、消費税をどう選ぶか。論点が多く、しかも期限が短い。
この記事の内容は2026年8月23日時点のものです。制度は毎年変わります。個別の判断は、必ず税理士にご相談ください。
出典創業融資のご案内|日本政策金融公庫 (日本政策金融公庫/2026年8月23日確認)
会社設立の費用は、自己資金から出すことになります
融資も補助金も、会社が存在してからの話です。会社設立の登記の費用は、自己資金から出すことになります。
日本政策金融公庫の調査では、開業時の自己資金は平均279万円。会社設立の費用は、その中のごく一部です。まずそこを用意してください。
この記事の内容は2026年8月23日時点のものです。制度は変わります。必ず最新の情報をご確認ください。
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