会社設立の本店は自宅とバーチャルオフィスのどちらが安いか。社宅の扱いまで含めて
この記事は、こういう方に向けて書いています
会社設立の本店所在地を、自宅にするかバーチャルオフィスにするかで迷っている方に向けた記事です。月額だけを見れば自宅が安いのですが、そう単純でもありません。
会社設立の費用の相場を調べているときには、この判断は出てきません。登記の実費とは別の話だからです。ただ、金額としてはこちらのほうが大きい。
この記事では、両方の費用を並べます。内容は2026年8月23日に確認したものです。個別の判断は税理士にご相談ください。
月額だけを比べると、自宅が安い

会社設立の本店所在地を自宅にすれば、追加の費用はゼロです。すでに住んでいる場所を使うだけです。
バーチャルオフィスなら、月数千円から1万円台。入会金が5,000円から2万円ほどかかることもあります。2026年8月23日時点の一般的な目安です。
月5,000円なら年6万円。会社設立の費用の相場が合同会社で6万円台であることを考えると、1年でそれと同じくらいです。

この図だけを見れば、自宅にするのが一番安いという結論になります。
ただ、前提が違います。自宅を本店にすると、住所が公開されます。登記事項証明書は誰でも取得できます。
それに、自宅を本店にすると、家賃の一部を会社の費用にできる場合があります。そうすると、金額の比較が変わります。
会社設立の費用の相場を調べるときと同じで、表面の数字だけでは決められません。
以下、その中身を見ていきます。
出典本店所在地とは?会社設立時にどこの住所を本店所在地として法人登記すべき? (マネーフォワード/2026年8月23日確認)
自宅を本店にすると、住所が公開される

自宅を本店所在地にすると、その住所が登記されます。
登記事項証明書は、誰でも取得できます。手数料を払えば、赤の他人でも会社の住所を確認できます。
さらに、名刺やホームページ、請求書にも本店所在地を書くことになります。
これを許容できるかどうかが、最初の分かれ目です。
法人向けの事業なら、それほど問題にならないことが多い。取引先も法人で、住所を悪用されることは考えにくい。
個人向けの事業なら、話が変わります。顧客とトラブルになったときに、自宅に来られる可能性があります。
- 登記事項証明書誰でも取得できます。手数料は1通600円
- 名刺・ホームページ本店所在地を書くことになります
- 特定商取引法に基づく表示通信販売などでは住所の表示が必要です
- 取引先への提出書類登記事項証明書を求められることがあります
それから、賃貸住宅なら大家の許可が要ることがあります。契約書で事業利用を禁じている物件は珍しくありません。
分譲マンションでも、管理規約で事業利用を制限していることがあります。確認してください。
無断で登記すると、契約違反になる可能性があります。会社設立の費用を抑えるために、住まいを失うのでは割に合いません。
会社設立の費用の相場を調べる前に、自宅の賃貸契約書を読んでおいてください。無料でできる確認です。
許可が取れないなら、バーチャルオフィスを使うことになります。月数千円の話です。
出典本店所在地とは?会社設立時にどこの住所を本店所在地として法人登記すべき? (マネーフォワード/2026年8月23日確認)
自宅を本店にすると、家賃の一部を会社の費用にできる

自宅を本店にする場合、家賃の一部を会社の費用にできることがあります。
方法はいくつかありますが、代表的なのが役員社宅の仕組みです。会社が住宅を借りて、役員に貸す。役員は賃貸料相当額を会社に払います。
国税庁は、賃貸料相当額の計算方法を定めています。2026年8月23日に確認しました。
役員に対して社宅を貸与する場合は、役員から1か月当たり一定額の家賃(以下「賃貸料相当額」といいます。)を受け取っていれば、給与として課税されません。
— 国税庁「No.2600 役員に社宅などを貸したとき」
小規模な住宅かどうかで計算が変わります。法定耐用年数が30年以下の建物なら床面積132平方メートル以下、30年を超える建物なら99平方メートル以下が小規模な住宅です。
小規模な住宅の場合、賃貸料相当額は次の三つの合計です。
- その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2パーセント
- 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)÷3.3平方メートル)
- その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22パーセント
この金額を役員が会社に払えば、残りは会社の費用になります。実務では、家賃の1割から2割程度になることが多いとされています。
つまり、家賃の8割から9割を会社の費用にできる可能性があるということです。
会社設立の費用の相場を数万円下げるより、この仕組みのほうが金額としてはるかに大きいことがあります。
出典No.2600 役員に社宅などを貸したとき (国税庁/2026年8月23日確認)
社宅にすると、いくら会社の費用になるか

実際の金額で考えてみます。家賃10万円の賃貸住宅を、役員社宅にした場合です。
賃貸料相当額が家賃の1割から2割だとすると、役員が会社に払うのは1万円から2万円。残りの8万円から9万円が会社の費用になります。
年間で96万円から108万円。実効税率30%として、約29万円から32万円の節税になります。

この図でわかるのは、会社設立の費用の相場をはるかに超える効果があるということです。
株式会社の会社設立の費用が16万6,500円。社宅の節税効果が年29万円なら、半年で会社設立の費用を回収できる計算になります。
ただし、条件があります。会社が住宅を借りる契約になっていること。役員個人が契約していると、社宅として認められません。
国税庁も、「現金で支給される住宅手当や入居者が直接契約している場合の家賃負担」は社宅の貸与とは認められないので、給与として課税されますとしています。2026年8月23日に確認しました。
だから、すでに個人で借りている家を社宅にするには、契約を会社名義に変える必要があります。大家の同意が要ります。
ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。社宅にすれば、家賃の大半を会社の費用にできます。
そのかわり、契約の名義を会社に変える手間がかかります。大家が応じないこともあります。それに、住所が公開されます。
出典1人社長の自宅の家賃を経費にする方法と注意点を税理士が解説 – 税理士法人植村会計事務所 (税理士法人植村会計事務所/2026年8月23日確認)
持ち家の場合と、バーチャルオフィスとの比較

持ち家の場合は、扱いが変わります。会社が借りるのではなく、役員が会社に貸すという形になります。
役員個人が会社から賃料を受け取り、それが個人の不動産所得になります。会社側は地代家賃として費用にできます。
つまり、会社の費用にはなりますが、個人に所得税がかかります。単純に得になるとは限りません。
それでも、個人の側では減価償却費や固定資産税を必要経費にできるので、所得を小さくできる余地があります。
| 住まいの形 | 方法 | 会社の費用になる部分 |
|---|---|---|
| 賃貸(会社が契約) | 役員社宅 | 家賃の8割から9割になることも |
| 賃貸(個人が契約) | 社宅として認められません | 給与として課税されます |
| 持ち家 | 会社に貸す | 賃料相当額。個人に所得税がかかります |
| バーチャルオフィス | そのまま費用 | 月額の全額 |
※ 2026年8月23日時点の一般的な扱いです。個別の判断は税理士にご相談ください。
この表でわかるのは、バーチャルオフィスが一番わかりやすいということです。月額をそのまま費用にするだけ。
自宅を使う場合は、契約の形と計算が必要になります。手間がかかります。
会社設立の費用の相場を調べているような段階では、この手間を負う余裕がないかもしれません。
だから、まずバーチャルオフィスで始めて、落ち着いてから社宅を検討するという順番もあります。
バーチャルオフィスの月5,000円は、年6万円。社宅にすれば年29万円ほどの節税になるかもしれませんが、そこは急ぐ話ではありません。
会社設立の直後は、やることが多い。優先順位を決めてください。
出典自宅兼事務所の経費はどこまで認められる?持ち家の場合や法人の場合などタイプ別に解説 – 大阪の税理士|ほまれ税理士法人| (ほまれ税理士法人/2026年8月23日確認)
両方を使うという選択もある

実は、両方を使うという選択もあります。
登記上の本店はバーチャルオフィス、実際に働くのは自宅。この形なら、住所を公開せずに済みます。
そして、自宅の家賃も社宅の仕組みで会社の費用にできる可能性があります。登記の住所と、社宅の場所は別で構いません。
ただし、社会保険の手続きは実際に事業を行っている場所が基準になります。日本年金機構が、「実際に事業を行っている事業所の所在地が登記上の所在地と異なる場合は、実際に事業を行っている事業所の所在地を管轄する事務センター(年金事務所)となります」と案内しています。2026年8月23日に確認しました。
つまり、手続きの窓口が分かれることになります。手間は増えますが、費用が増えるわけではありません。

この形が成り立つのは、許認可が要らない業種に限られます。事務所の要件がある許認可では、そもそもバーチャルオフィスが使えません。
会社設立の費用の相場を抑えたいなら、自宅だけで済ませるのが一番安い。
住所の公開を避けたいなら、バーチャルオフィスを足す。月数千円です。
そのうえで社宅の仕組みを使えば、家賃の大半を会社の費用にできる可能性があります。
この組み合わせが、一人で始める会社では現実的なことが多い。
出典バーチャルオフィスは使って大丈夫?許認可・法人口座・社会保険の注意点を行政書士が解説 – ツナガル行政書士 (ツナガル行政書士/2026年8月23日確認)
結局、どちらを選ぶか

判断の順序を整理します。
- 自分の業種に許認可が要るか。要るなら、事務所の要件があるかを確認する
- 賃貸住宅なら、契約書で事業利用が認められているかを確認する
- 自宅の住所を公開してよいかを決める
- 公開したくないなら、バーチャルオフィスを足す
- 家賃を会社の費用にできるかを、税理士に相談する
この順番で考えれば、迷いません。最初の二つは、確認するだけで無料です。
許認可の要件は、所管の窓口に電話すれば教えてもらえます。賃貸契約書は、手元にあります。
- 自宅のみ
- 月額ゼロ。住所が公開されます
- バーチャルオフィスのみ
- 月数千円から。許認可に注意
- 両方を併用
- 月数千円。住所を公開せずに済みます
- 賃貸事務所
- 月10万円から。会社設立の費用の7倍以上が毎年
会社設立の費用の相場は、株式会社で16万円台から、合同会社で6万円台から。本店所在地の選び方で、年間の費用が0円から120万円まで変わります。
だから、会社設立の費用を数万円下げることに時間をかけるより、ここを考えるほうが桁が大きい。
そして、社宅の仕組みを使えば、年29万円ほどの節税になる可能性があります。会社設立の費用の相場を大きく超える金額です。
ただし、計算と契約が必要です。自己流でやると給与として課税されます。
会社設立の費用の相場を調べる時間の何倍かを、ここに使う価値があります。
出典一人社長は自宅の家賃を経費にできる?経費計上する方法や注意点を解説! (SoVa/2026年8月23日確認)
まとめ:住所の公開と、許認可で決まる

本店所在地の選び方について、まとめます。
- 月額だけを比べると、自宅がゼロで一番安い
- ただし、自宅を本店にすると住所が公開されます
- 賃貸住宅なら、大家の許可が要ることがあります
- 許認可に事務所の要件がある業種では、バーチャルオフィスは使えません
- 役員社宅の仕組みを使えば、家賃の大半を会社の費用にできる可能性があります
会社設立の費用の相場は、株式会社で16万円台から、合同会社で6万円台から。本店所在地の費用は、そこに毎年乗ります。
- 自宅
- 月額ゼロ。住所が公開されます
- バーチャルオフィス
- 月数千円から1万円台。許認可に注意
- 役員社宅
- 小規模な住宅なら、賃貸料相当額は国税庁の算式で計算します
- 賃貸事務所
- 月10万円から。年120万円です
会社設立の費用を数万円抑えることに時間をかけるより、この判断のほうが桁が大きい。
そして、社宅の仕組みは節税の効果が大きいぶん、要件も細かい。必ず税理士に相談してください。
さらに、設立後には毎年かかる費用があります。均等割は赤字でも年7万円、社会保険の会社負担は役員報酬のおよそ15%。
会社設立の費用の相場は入口の数字です。本店所在地も、社宅も、設立後の固定費も、その先にあります。
この記事の内容は2026年8月23日時点のものです。制度は改正されます。個別の判断は、必ず税理士にご相談ください。
出典No.2600 役員に社宅などを貸したとき (国税庁/2026年8月23日確認)
自宅なら、家賃を会社の費用にできる場合があります
自宅を本店にすると月額はゼロですが、それだけではありません。役員社宅の仕組みを使えば、家賃の一部を会社の費用にできる場合があります。
ただし、条件があります。国税庁が賃貸料相当額の計算方法を定めています。自己流でやると、給与として課税されます。必ず税理士に確認してください。
この記事の内容は2026年8月23日時点のものです。制度は改正されます。出典としてリンクした国税庁のページで最新の内容を確かめてください。
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