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会社設立 費用 経費

会社設立前に払った費用は経費になるのか。いつからの支出が対象かを一次情報で確かめる

この記事は、こういう方に向けて書いています

会社設立の準備を進めていて、いま払っている費用が経費になるのかが気になっている方に向けた記事です。定款の作成費、印鑑代、打ち合わせの交通費。会社がまだないのに払っている支出です。

結論から書くと、会社設立に要した費用は、法人税法上は繰延資産として扱われます。創立費と開業費という科目があり、償却のしかたも定められています。

この記事では、国税庁の一次情報で扱いを確かめます。金額は2026年8月22日に確認したものです。個別の税務判断は税理士にご相談ください。

会社設立の費用は「繰延資産」として扱われる

会社設立の費用は「繰延資産」として扱われるを表したイラスト

会社設立に要した費用は、経費になるのか。なります。ただし、扱いに特徴があります。

法人税では、会社設立に要した費用は繰延資産として扱われます。国税庁が法人税基本通達で繰延資産の意義と範囲を示しています。2026年8月22日時点で確認した内容です。

繰延資産とは、支出の効果が翌期以降にも及ぶものを、いったん資産として計上しておく考え方です。払った期に全額を費用にするのではなく、資産に計上して、あとで償却していきます。

会社設立に関わる繰延資産には、創立費開業費という科目があります。

創立費と開業費の違いを並べた比較図
会社設立までが創立費、そのあと営業開始までが開業費です

線引きは「会社設立の登記が完了した時点」です。それまでが創立費、そこから営業を開始するまでが開業費、という整理になります。

この記事で判断を示さない部分ある支出が創立費に当たるか開業費に当たるか、あるいはどちらにも当たらないかは、事実関係によって結論が分かれます。この記事では制度の枠組みを示しますが、個別の判断は示しません。必ず税理士にご相談ください。

会社設立の費用の相場を調べているときは、支出の金額に目が行きます。ただ、その支出をどう帳簿に載せるかも、あとで効いてきます。

以下、創立費と開業費を順に見ていきます。

出典第1節 繰延資産の意義及び範囲等(法人税基本通達) (国税庁/2026年8月22日確認)

創立費:会社設立までにかかった費用

創立費:会社設立までにかかった費用を表したイラスト

創立費は、会社設立までにかかった費用です。

代表的なものが、定款の作成にかかった費用、定款認証の手数料、登録免許税、司法書士や行政書士に払った報酬。会社を成立させるために使ったお金です。

そのほか、設立のための打ち合わせにかかった費用、発起人の報酬、設立事務に使った費用なども含まれるとされています。

会社設立の費用の相場として語られる金額は、ほぼそのまま創立費になると考えてよいでしょう。株式会社なら18万円ほど、合同会社なら7万3,000円ほど。

創立費に含まれると扱われることが多い支出
支出 創立費に含まれるか
登録免許税 含まれると扱われるのが一般的です
定款認証の手数料 同上
定款の謄本の交付手数料 同上
収入印紙(紙の定款) 同上
司法書士・行政書士への報酬 同上
設立のための打ち合わせの交通費 同上
会社の印鑑 資産に計上する場合もあります。金額によります

※ 個別の判断は事実関係によって変わります。税理士にご相談ください。

印鑑については、金額によって扱いが変わることがあります。一定の金額を超えると資産として計上するという考え方もありますので、税理士にご確認ください。

そして、領収書が必要です。会社がまだ存在していないので、領収書の宛名は発起人の個人名になります。それで構いません。

会社設立後に「個人が会社のために立て替えた費用」として精算する形で処理します。この精算の記録も残しておいてください。

いつからの支出が対象になるかについては、事実関係によって判断が分かれます。あまり古い支出だと、会社設立との関連が説明しにくくなります。

出典第1節 繰延資産の意義及び範囲等(法人税基本通達) (国税庁/2026年8月22日確認)

開業費:設立から営業開始までの費用

開業費:設立から営業開始までの費用を表したイラスト

開業費は、会社設立から営業を開始するまでにかかった費用です。

代表的なものが、広告宣伝費、市場調査費、名刺や看板の費用、開業のための準備にかかった費用。事業を始めるために使ったお金です。

創立費との線引きは、会社設立の登記が完了した時点です。それより前が創立費、あとが開業費という整理になります。

開業費についても、繰延資産として扱われます。国税庁が償却期間経過後における開業費の任意償却について案内していますので、そちらもご確認ください。

注意点として、開業費に含まれないものがあります。家賃、水道光熱費、従業員の給与といった、経常的にかかる費用です。これらは通常の費用として処理します。

開業費に含まれるのは、開業のために特別に支出したものという考え方です。毎月かかるものは含まれません。

開業費に含まれるかどうかの目安
支出 開業費に含まれるか
開業前の広告宣伝費 含まれると扱われることがあります
市場調査の費用 同上
名刺・看板の作成費 同上
開業前の打ち合わせの費用 同上
家賃・水道光熱費 経常的な費用のため、通常は含まれません
従業員の給与 同上

※ 個別の判断は事実関係によって変わります。税理士にご相談ください。

この線引きは判断が分かれることがあります。同じ支出でも、目的や状況によって扱いが変わることがあるためです。

会社設立の費用の相場を調べているときは、この区分まで意識することは少ないと思います。ただ、領収書を残しておけば、あとで整理できます。

出典償却期間経過後における開業費の任意償却 (国税庁/2026年8月22日確認)

償却のしかた:任意償却ができる

償却のしかた:任意償却ができるを表したイラスト

創立費と開業費は繰延資産ですから、償却して費用にしていきます。

償却のしかたには特徴があります。任意償却が認められているという点です。国税庁が開業費の任意償却について案内しています。

任意償却とは、いつ、いくら償却するかを自分で決められるということです。全額を一度に償却することもできますし、何年かに分けることもできます。

これが効くのは、赤字の年に償却しないという選択ができることです。会社設立の初年度は赤字になることが少なくありません。その年に償却しても、費用が増えるだけで税額は変わりません。

利益が出た年に償却すれば、その年の課税所得を減らせます。繰延資産として持っておいて、必要なときに使うという考え方です。

会計の基準では償却期間が5年とされていますが、税務上は任意とされています。この違いも知っておいてください。

ただし、判断は税理士にご相談ください。いつ償却するかは、その年の利益と、翌年以降の見通しによって変わります。

会社設立の費用の相場を調べる段階では、ここまで考える必要はありません。ただ、領収書を残しておかないと、この選択肢そのものがなくなります。

そして、繰延資産として計上するには、支出の内容が分かる記録が必要です。何にいくら払ったのか。ここが曖昧だと、計上できません。

出典償却期間経過後における開業費の任意償却 (国税庁/2026年8月22日確認)

領収書は個人名でよい。ただし残してください

領収書は個人名でよい。ただし残してくださいを表したイラスト

会社設立の前に払った費用の領収書は、発起人の個人名になります。会社がまだ存在していないからです。

それで構いません。会社設立後に「個人が会社のために立て替えた費用」として精算する形で処理します。

大事なのは、領収書を残しておくことです。捨ててしまうと、あとから計上できません。

そして、何のための支出かが分かるようにしておいてください。日付、金額、支払先、目的。メモを添えておくと、あとで整理しやすくなります。

領収書がもらえない支出(電車代など)は、出金伝票で記録します。日付、金額、行き先、目的を書いておけば足りるとされています。

会社設立の前に払った費用を記録するときの項目を並べたチェックリスト
分類より先に、まず残すことです

分類は設立後に整理すればよいことです。創立費か開業費かで迷う必要はありません。まず領収書を残してください。

会社設立の費用の相場を調べる段階から、この習慣を始めておくと、あとが楽になります。準備を始めた時点から、支出は発生しているからです。

そして、精算の記録も残してください。個人が立て替えたお金を、会社から受け取るという取引になります。ここが曖昧だと、あとで説明できません。

なお、資本金として払い込んだお金は費用ではありません。会社に残る資産です。混同しないでください。

出典会社設立前のコストは経費になる?創立費や開業費の仕訳などを税理士が解説 (ベンチャーサポート/2026年8月22日確認)

いつからの支出が対象になるのか

いつからの支出が対象になるのかを表したイラスト

いつからの支出が創立費の対象になるのか。ここは判断が分かれる部分です。

法人税基本通達では、創立費の範囲について定めがあります。ただし、「何か月前から」という形の期間の定めがあるわけではありません。

実務上の考え方としては、会社設立との関連が説明できるかどうかです。設立の準備として使ったお金であることが説明できれば、対象になりえます。

逆に、あまり古い支出だと、会社設立との関連が説明しにくくなります。「これは本当に設立の準備だったのか」と問われたときに、答えられるかどうかです。

ですから、支出の目的をメモしておくことが効いてきます。日付と金額だけでは、関連を説明できません。

そして、支出の性質も見られます。設立のために特別に支出したものなのか、個人的な支出なのか。ここが曖昧なものは、認められにくくなります。

この記事では「何か月前まで」という基準を示しません。事実関係によって結論が分かれますし、それは税理士が判断する領域だからです。

会社設立の準備を始めたら、その時点から領収書を残しておくのが確実です。あとで「これは古すぎる」と言われても、残っていれば相談できます。

残っていなければ、相談すらできません。まず残す。判断はあとです。

出典会社設立前の出費はいつから経費になる?経費として扱える出費も解説 (小谷野税理士法人/2026年8月22日確認)

会社設立の費用と、経費の関係を整理する

会社設立の費用と、経費の関係を整理するを表したイラスト

会社設立の費用と、経費の関係を整理します。

会社設立の費用の相場として語られるのは、いくら払うかという話です。株式会社なら18万円ほど、合同会社なら7万3,000円ほど。2026年8月22日に一次情報で確認した金額から計算したものです。

これに対して、この記事で扱っているのは、その支出をどう帳簿に載せるかという話です。まったく別の論点です。

会社設立の費用に関する三つの論点
論点 内容 調べ先
いくら払うか 登録免許税、定款認証の手数料など 法務局・国税庁・日本公証人連合会の一次情報
どう帳簿に載せるか 創立費・開業費として繰延資産に 国税庁の法人税基本通達、税理士
いつ償却するか 任意償却。利益が出た年に 税理士

※ 帳簿への載せ方と償却の判断は、税理士にご相談ください。

相場を調べるだけでは、下の二行が分かりません。税理士に相談するか、自分で国税庁の一次情報を読むことになります。

そして、下の二行は設立後に効いてきます。繰延資産として計上しておけば、利益が出た年に償却して課税所得を減らせます。

そのためには、領収書が必要です。相場を調べる段階から、支出の記録を始めておいてください。

会社設立の費用を数万円下げることも大事ですが、払った費用をきちんと計上することも、金額としては効きます。

なお、繰延資産として計上できるかどうか、いつ償却するかは、事実関係と会社の状況によって変わります。この記事では判断を示しません。

出典会社設立時の費用は経費になる?会社設立の流れに沿った仕訳方法も解説 (freee/2026年8月22日確認)

まとめ:繰延資産として計上できます。まず領収書を

まとめ:繰延資産として計上できます。まず領収書をを表したイラスト

会社設立の前に払った費用の扱いを、まとめます。

  1. 会社設立に要した費用は、法人税法上は繰延資産として扱われます。払った期に全額を費用にするのではなく、資産に計上して償却していきます。
  2. 創立費と開業費に分かれます。線引きは会社設立の登記が完了した時点。それまでが創立費、そこから営業開始までが開業費です。
  3. 任意償却ができます。いつ、いくら償却するかを決められます。赤字の年に償却せず、利益が出た年に償却するという選択ができます。
  4. 領収書は個人名で構いません。会社がまだ存在していないので当然です。設立後に立替金の精算として処理します。
  5. いつからの支出が対象かは、事実関係によります。「何か月前まで」という一律の基準を示すことはできません。会社設立との関連が説明できるかどうかです。
  6. まず領収書を残してください。分類は設立後に整理すればよいことです。

制度の内容は2026年8月22日に国税庁で確認したものです。法人税基本通達の第1節に繰延資産の意義及び範囲等が示されていますので、そちらもご確認ください。

制度は改正されます。必ずリンク先の一次情報で確かめてください。

会社設立の費用の相場を調べることと、その費用をどう帳簿に載せるかは、別の論点です。相場だけを調べても、下の話は分かりません。

そして、個別の判断はこの記事では示していません。ある支出が創立費に当たるか開業費に当たるかは、事実関係によって結論が分かれます。

この記事は一般的な費用の解説であり、個別の税務相談ではありません。処理の判断は、税理士にご相談ください。

出典第1節 繰延資産の意義及び範囲等(法人税基本通達) (国税庁/2026年8月22日確認)

領収書は捨てないでください

会社設立の前に払った費用でも、創立費や開業費として計上できる場合があります。そのためには、領収書やレシートが必要です。会社がまだないので個人名の領収書になりますが、それで構いません。

捨ててしまうと、あとから計上できません。まず取っておく。分類は設立後に税理士と一緒に整理すればよいことです。

この記事の内容は2026年8月22日時点のものです。制度は改正されます。出典としてリンクした国税庁のページで最新の内容を確かめ、判断そのものは税理士にご相談ください。

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