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会社設立 費用 経費

会社設立の費用で、経費にならないもの。資本金と、資産に計上するもの

この記事は、こういう方に向けて書いています

会社設立で払ったお金を整理していて、どれが経費になるのか分からなくなっている方に向けた記事です。領収書は残したが、分類の段階で迷っている、という場面を想定しています。

経費にならないものがあります。資本金は会社に残るお金なので費用ではありませんし、一定額を超える資産は資産として計上します。過怠税のような罰金的なものは、そもそも損金になりません。

この記事では、その線引きを整理します。制度の内容は2026年8月22日に国税庁で確認したものです。個別の判断は税理士にご相談ください。

経費にならないものが、三種類ある

経費にならないものが、三種類あるを表したイラスト

会社設立で払ったお金のうち、経費にならないものがあります。大きく三種類です。

ひとつ目、資本金。会社に残るお金なので、そもそも費用ではありません。

ふたつ目、一定額を超える資産。パソコンや機械のように、長く使うものは資産として計上し、減価償却していきます。

三つ目、罰金的なもの。印紙の貼り忘れによる過怠税など。国税庁の案内によると、過怠税は法人税や所得税の控除の対象外とされています。

会社設立の費用で経費になるものとならないものを並べた比較図
理由がそれぞれ違います。分けて考えてください

この三つは、理由がそれぞれ違います。資本金は費用ではないから、資産は資産だから、罰金は制度上そう定められているから。

「経費」と「損金」会計では費用、税務では損金という言い方をします。この記事では読みやすさを優先して「経費」と書いていますが、税務上の扱いを述べる部分では損金の意味で使っています。厳密な区別が必要な場面では、税理士にご確認ください。

会社設立の費用の相場を調べているときは、払う金額に目が行きます。ただ、払ったあとの扱いも知っておくと、記録のしかたが変わります。

以下、三つを順に見ていきます。

なお、会社設立の費用の相場として紹介される金額のうち、大半は経費(創立費)として計上できます。登録免許税も定款認証の手数料も収入印紙も、会社を成立させるために払ったお金だからです。

ですから、この記事で扱うのは例外のほうです。相場に含まれない資本金や、相場の外にある設備の費用、そして失敗したときの過怠税。ここを混ぜないための整理だと考えてください。

出典第1節 繰延資産の意義及び範囲等(法人税基本通達) (国税庁/2026年8月22日確認)

経費にならないもの①:資本金

経費にならないもの①:資本金を表したイラスト

ひとつ目が資本金です。そもそも費用ではありません。

資本金は、会社に払い込むお金です。払い込んだあとは会社のお金として残ります。設備を買うことも、仕入れに使うことも、家賃を払うこともできます。

これに対して、登録免許税や定款認証の手数料は支出です。払ったら戻ってきませんし、会社には残りません。

会計上、資本金は純資産に計上されます。費用ではなく、会社の元手です。

ですから、「会社設立に100万円かかった」というとき、その100万円が資本金なら、費用は発生していません。お金が個人から会社に移っただけです。

この区別は基本的なことですが、混同されやすい部分です。会社設立の費用の相場を調べるときも、資本金は別に考えてください。

そして、資本金を払い込むために振込手数料がかかった場合、その手数料は費用になりえます。資本金そのものとは別の支出だからです。

なお、資本金の額は会社設立の費用にほとんど影響しません。登録免許税には下限があり、株式会社なら資本金2,143万円まで、合同会社なら857万円まで同じ額です。2026年8月22日時点の国税庁の登録免許税の税額表による内容です。

資本金は、費用としてではなく、事業に必要な額として決めてください。

なお、資本金として払い込んだお金を、そのまま設備の購入や仕入れに使うことはできます。会社のお金になっているからです。その支出は、それぞれの性質に応じて費用または資産として処理します。

会社設立の費用の相場と資本金を足した金額が、手元に用意しておくべき額です。相場が18万円でも、資本金100万円を用意するなら118万円。この区別を、記録の段階でも保ってください。

出典資本金とは?会社設立時はいくらに設定すべき?最低金額や決め方、払込時期などを解説 (マネーフォワード/2026年8月22日確認)

経費にならないもの②:一定額を超える資産

経費にならないもの②:一定額を超える資産を表したイラスト

ふたつ目が、一定額を超える資産です。

パソコン、机、機械、車。長く使うものは、買った期に全額を費用にするのではなく、資産として計上して減価償却していきます。

これは会社設立に限った話ではなく、法人の会計の基本です。国税庁が減価償却について案内しています。

金額の基準があります。一定の金額未満のものは、買った期に全額を費用にできる取扱いがあります。金額の区分と要件は国税庁のページでご確認ください。

会社設立の準備で買ったパソコンや机も、金額によっては資産に計上することになります。開業費として一括で処理できるとは限りません。

会社の印鑑についても、金額によって扱いが変わることがあります。一定の金額を超えると資産として計上するという考え方もありますので、税理士にご確認ください。

会社設立の準備で買ったものの扱いの目安
支出 扱いの目安
登録免許税・定款認証の手数料 創立費(繰延資産)として扱われるのが一般的です
会社の印鑑 金額によって、費用か資産か扱いが変わることがあります
パソコン・机・機械 金額によって、費用か資産か扱いが変わります
名刺・封筒などの消耗品 費用として処理するのが一般的です
ソフトウェア 金額と内容によって、資産に計上することがあります

※ 金額の区分と要件は国税庁のページでご確認ください。個別の判断は税理士にご相談ください。

この記事では金額の基準を示しません。制度が改正されることがありますし、要件も細かいためです。国税庁の一次情報を確かめてください。

会社設立の費用の相場には、こうした設備や備品の費用は含まれていません。会社を成立させるための費用と、事業を始めるための費用は別だからです。

領収書は、設立の費用と設備の費用を分けて保管しておくと、あとの整理が楽になります。

判断に迷う金額のものは、そのまま残して税理士に見てもらうのがいちばん確実です。資産に計上すべきものを費用にしてしまうと、あとで修正が必要になることがあります。

そして、資産に計上したものは減価償却を通じて何年かに分けて費用になります。経費にならないのではなく、時期がずれるだけです。この点も知っておいてください。

出典第1節 繰延資産の意義及び範囲等(法人税基本通達) (国税庁/2026年8月22日確認)

経費にならないもの③:罰金的なもの

経費にならないもの③:罰金的なものを表したイラスト

三つ目が、罰金的なものです。そもそも損金にできません。

会社設立に関わるもので分かりやすいのが、印紙税の過怠税です。紙の定款に収入印紙を貼り忘れると、本来の印紙税額の3倍を取られます。2026年8月22日時点で、国税庁が案内している内容です。

そして、国税庁の案内によると、過怠税は法人税や所得税の控除の対象外とされています。つまり、払っても損金にできません。

これは大きな話です。印紙を正しく貼れば4万円で済み、しかも創立費として計上できる。貼り忘れれば12万円取られて、その12万円は損金にできない。

消印を忘れた場合も同じです。消印されていない印紙の額面に相当する過怠税が徴収されます。定款なら4万円が追加でかかります。

同じように、税金を期限までに納めなかったときの延滞税や加算税も、損金にできないのが原則です。

印紙を貼り忘れたときの負担を並べた棒グラフ
過怠税は損金にできないので、実質的な負担はさらに重くなります

会社設立の費用を数万円下げる工夫より、こうした失敗を避けるほうが効きます。8万円の上乗せがあり、しかも損金にできないからです。

印紙税以外にも、罰金や科料、交通反則金などは損金にできないとされています。会社を運営していくうえで、知っておく価値があります。

会社設立の費用の相場には、こうした失敗の費用は含まれていません。相場は、正しく手続きをした場合の数字だからです。

出典No.7131 印紙税を納めなかったとき (国税庁/2026年8月22日確認)

判断が分かれるもの

判断が分かれるものを表したイラスト

経費になるかならないか、判断が分かれるものもあります。

いちばん多いのが、個人的な支出との境目です。会社設立の打ち合わせで使ったカフェ代は経費になりえますが、その打ち合わせが本当に会社設立のためだったのか。

交通費も同じです。公証役場に行くための交通費は説明しやすいのですが、「会社設立の準備のため」とだけ書かれた交通費は、内容によります。

書籍代、セミナーの参加費、相談料。会社設立に関係するものであれば経費になりえますが、個人の勉強のためだったのか、会社設立のためだったのか。

判断の基準は、会社設立との関連を説明できるかどうかです。日付、金額、支払先だけでは説明できません。目的のメモが要ります。

会社設立で経費になるかどうか判断が分かれやすい支出を並べたチェックリスト
目的のメモがあるかどうかで、説明できるかが変わります

この記事では、それぞれが経費になるかどうかの判断を示しません。事実関係によって結論が分かれますし、それは税理士が判断する領域だからです。

できることは、説明できるようにしておくことです。目的をメモしておけば、あとで相談できます。

そして、個人的な支出を混ぜないでください。混ざっていると、全体の信頼性が下がります。

会社設立の費用の相場を調べる段階から、記録の習慣を始めておくと、あとが楽になります。

出典会社設立前にかかる費用はいつから経費になる?創立費と開業費の取り扱いについて詳しく解説 (税理士法人松本/2026年8月22日確認)

会社設立の費用を、三つに分けて整理する

会社設立の費用を、三つに分けて整理するを表したイラスト

会社設立で払ったお金を、三つに分けて整理することをおすすめします。

ひとつ目、創立費になりそうなもの。登録免許税、定款認証の手数料、謄本代、収入印紙、専門家への報酬、設立のための打ち合わせの費用。

ふたつ目、開業費になりそうなもの。広告宣伝費、市場調査費、名刺、看板。会社設立の登記が完了してから、営業を開始するまでの支出です。

三つ目、それ以外。資本金、資産に計上しそうなもの、経常的な費用、個人的な支出。

会社設立で払ったお金の整理のしかた
分類 内容 保管のしかた
創立費になりそうなもの 設立の登記が完了するまでの支出 封筒やファイルを分けて
開業費になりそうなもの 登記完了から営業開始までの支出 同上
それ以外 資本金、資産、経常的な費用 同上

※ 分類に迷うものは、そのまま残しておいてください。税理士と一緒に整理すればよいことです。

分けて保管するだけでも、あとの整理がかなり楽になります。封筒を三つ用意して、日付順に入れておくだけで足ります。

そして、分類に迷うものは、そのまま残しておいてください。「これは経費にならないだろう」と自分で判断して捨てると、あとで相談できません。

会社設立の登記が完了した日を記録しておくことも大事です。創立費と開業費の線引きがこの日だからです。

登記が完了した日は、登記事項証明書で確認できます。設立の日(申請した日)とは別ですので、混同しないでください。

会社設立の費用の相場を調べる段階では、ここまで考える必要はありません。ただ、支出が始まったら記録を始めてください。

出典会社設立時の費用は経費になる?会社設立の流れに沿った仕訳方法も解説 (freee/2026年8月22日確認)

経費にできるかどうかで、金額はどれくらい変わるか

経費にできるかどうかで、金額はどれくらい変わるかを表したイラスト

経費にできるかどうかで、金額はどれくらい変わるのか。

会社設立の費用が18万円だとして、これを創立費として計上し、利益が出た年に償却する。その年の課税所得が18万円減ります。

法人税の税率は所得の金額によって変わります。国税庁が法人税の税率について案内していますので、そちらをご確認ください。税率を掛けたぶんだけ、税額が減るという関係です。

これに加えて、法人住民税の法人税割や法人事業税にも影響します。合わせると、それなりの金額になります。

そして、任意償却ができるのが繰延資産の特徴です。赤字の年に償却しても意味がありませんので、利益が出た年まで持っておけます。

この選択ができるのは、計上してあるからです。領収書を捨てていれば、そもそも計上できません。

会社設立の費用の相場を数万円下げることと、払った費用をきちんと計上すること。どちらも金額に効きますが、後者のほうが確実です。

相場を下げるには条件を変える必要がありますが、計上するのは領収書を残すだけだからです。

そして、経費にならないものを経費にしようとするのは、別の話です。過大に計上すれば、あとで否認されることがあります。判断は税理士にご相談ください。

出典会社設立の経費はどこまで認められる?開業費・創立費を徹底解説 (タケバ会計事務所/2026年8月22日確認)

まとめ:資本金・資産・罰金は経費になりません

まとめ:資本金・資産・罰金は経費になりませんを表したイラスト

会社設立の費用で経費にならないものを、まとめます。

  1. 資本金。会社に残るお金なので、そもそも費用ではありません。純資産に計上されます。
  2. 一定額を超える資産。パソコンや机など、長く使うものは資産として計上し、減価償却していきます。金額の区分は国税庁のページでご確認ください。
  3. 罰金的なもの。印紙の貼り忘れによる過怠税など。国税庁の案内によると、過怠税は法人税や所得税の控除の対象外とされています。
  4. 判断が分かれるもの。打ち合わせの飲食代、交通費、書籍代。会社設立との関連が説明できるかどうかです。
  5. 個人的な支出。混ぜないでください。全体の信頼性が下がります。

そして、分類に迷うものは、そのまま残しておいてください。「これは経費にならないだろう」と自分で判断して捨てると、あとで相談できません。

制度の内容は2026年8月22日に国税庁で確認したものです。過怠税については「No.7131 印紙税を納めなかったとき」に、繰延資産については法人税基本通達の第1節に定めがあります。

制度は改正されます。必ずリンク先の一次情報で確かめてください。

会社設立の費用の相場を調べることと、払った費用をどう扱うかは、別の論点です。相場だけを調べても、この話は分かりません。

この記事は一般的な費用の解説であり、個別の税務相談ではありません。ある支出が経費になるかどうかの判断は、事実関係によって結論が分かれます。税理士にご相談ください。

出典No.7131 印紙税を納めなかったとき (国税庁/2026年8月22日確認)

迷ったら、分けて残しておいてください

会社設立で払ったお金のうち、経費になるものとならないものは、事実関係によって判断が分かれます。この記事では枠組みを示しますが、個別の判断は示しません。

迷ったら、分類せずにそのまま残しておいてください。税理士と一緒に整理すればよいことです。捨ててしまうと、相談すらできません。

この記事の内容は2026年8月22日時点のものです。制度は改正されます。出典としてリンクした国税庁のページで最新の内容を確かめ、判断そのものは税理士にご相談ください。

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