本文へ移動する

会社設立 維持費

会社設立の維持費を10年分で積み上げる。設立費用の何倍になるか

この記事は、こういう方に向けて書いています

会社設立の費用の相場を調べ終えて、長く続けたときの総額が気になっている方に向けた記事です。1年ならわかった。では10年では。

会社は、作ったら終わりではありません。続けるかぎり費用が発生します。その積み上げを見ておくと、判断が変わることがあります。

この記事では、10年分を積み上げます。金額は2026年8月23日に確認したものです。個別の判断は税理士にご相談ください。

会社設立の費用は、10年で見ると1%から2%

会社設立の費用は、10年で見ると1%から2%を表したイラスト

会社設立の費用の相場は、株式会社で16万円台から、合同会社で6万円台からです。2026年8月23日に確認しました。

この記事では、そこから10年間会社を続けた場合の総額を出します。前提は、役員報酬を月30万円、税理士に顧問を依頼、事務所は借りない。

結論から書くと、10年で1,000万円を超えます。会社設立の費用は、そのうちの1%から2%です。

会社設立の費用と10年分の維持費を比べた棒グラフ
会社設立の費用は、この図の中で一番小さい項目です

この図でわかるのは、社会保険の会社負担が圧倒的に大きいということです。10年で540万円。会社設立の費用の32倍です。

次が税理士で350万円、その次が均等割で70万円。会社設立の費用は16万円台。

この記事の前提役員報酬は10年間同額と仮定しています。実際は事業の成長に応じて上がるので、社会保険の負担はもっと大きくなります。

会社設立の費用の相場を調べている方は、この比率を知らないまま数万円の節約に時間を使っていることがあります。

もちろん、削れるものは削ったほうがよい。ただ、優先順位が違います。

以下、項目ごとに10年分を積み上げます。

出典会社設立でかかる維持費や年間費用は? (マネーフォワード/2026年8月23日確認)

均等割:10年で70万円

均等割:10年で70万円を表したイラスト

法人住民税の均等割は、標準税率での下限が年7万円です。総務省が地方税制度の資料で示しています。2026年8月23日に確認しました。

赤字でも払います。利益が出ていても変わりません。資本金等の額と従業者数で決まる、固定の金額です。

10年で70万円。会社設立の費用の相場が合同会社で6万円台であることを考えると、その11倍になります。

この金額は、事業の状況によって変わりません。売上がゼロでも、10億円でも、資本金と人数が同じなら同じです。

均等割の累計と、会社設立の費用との比較
期間 均等割の累計 会社設立の費用との比(合同会社)
1年 7万円 1.2倍
3年 21万円 3.5倍
5年 35万円 5.8倍
10年 70万円 11.6倍

※ 標準税率の下限で計算。会社設立の費用は合同会社・電子定款の6万250円で比較(2026年8月23日確認)。

1年目で、すでに会社設立の費用を追い抜いています。合同会社なら1年、株式会社でも3年です。

ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。資本金を1,000万円以下にしておけば、均等割は最小の7万円です。

1,000万円を超えると18万円に上がります。10年で110万円の差です。それに、消費税の免税も受けられません。

そのかわり、資本金が小さいと信用の面で不利になることがあります。取引先や金融機関からの見え方が変わりますし、運転資金も小さくなります。

それでも、多くの小さな会社が1,000万円未満を選びます。税負担の差が大きすぎるからです。

会社設立の費用の相場を下げることより、資本金をいくらにするかのほうが、10年で見れば大きい。

出典地方税制度|法人住民税 (総務省/2026年8月23日確認)

社会保険:10年で540万円

社会保険:10年で540万円を表したイラスト

役員報酬を出すと、社会保険の会社負担が発生します。10年で見ると、これが一番大きい。

会社負担は、役員報酬のおよそ15%。厚生年金保険の保険料率は日本年金機構が保険料額表で公表しています。2026年8月23日に確認しました。健康保険と合わせた水準です。

役員報酬が月30万円なら、会社負担は月4万5,000円。年54万円、10年で540万円です。

役員報酬の額ごとの社会保険の会社負担を10年分で並べた棒グラフ
役員報酬の額で、10年の負担が数百万円変わります

この図でわかるのは、役員報酬を月20万円にするか月50万円にするかで、10年の会社負担が540万円変わるということです。

会社設立の費用の相場が16万円台であることを考えると、その33倍の差です。

ただし、これは「役員報酬を下げれば得」という単純な話ではありません。下げれば会社に利益が残り、法人税がかかります。

それに、厚生年金は払った分だけ将来の年金が増えます。払い損ではありません。

そして、役員報酬が低すぎると生活が成り立ちません。生活費を会社から取れなくなります。

だから、どこで折り合いをつけるかという設計の問題になります。正解は人によって違います。

会社設立の費用の相場を調べる時間の何倍かを、ここに使ってください。金額の桁が違います。

出典厚生年金保険の保険料 (日本年金機構/2026年8月23日確認)

税理士:10年で350万円

税理士:10年で350万円を表したイラスト

税理士に顧問を依頼すると、年20万円から40万円ほど。決算料を含めると年30万円から60万円になることもあります。2026年8月23日時点の一般的な水準です。

年35万円として、10年で350万円。会社設立の費用の21倍です。

これは、頼む範囲で大きく変わります。記帳を自分でやれば安くなりますし、決算だけを頼むという選択もあります。

税理士への依頼の範囲と、10年の累計
依頼の範囲 年額の目安 10年の累計
自分で全部やる 0円 0円
決算だけ依頼 10万円から20万円 100万円から200万円
顧問(記帳は自分) 20万円から30万円 200万円から300万円
顧問+記帳代行 40万円から60万円 400万円から600万円

※ 2026年8月23日時点の一般的な目安です。事業の規模と取引の量で変わります。

ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。自分で全部やれば0円です。

そのかわり、時間と判断の質を手放します。決算と申告に、毎年何日かかかります。10年で数十日。それを時給に換算すると、けっこうな額になります。

それに、判断すべき論点を見落とします。償却のタイミング、役員報酬の設定、消費税の選択。知らなければ通り過ぎます。

通り過ぎても脱税にはなりません。払わなくてよかった税金を払うことになるだけです。ただ、10年積み上げると無視できない額になります。

逆に、税理士に頼めば時間は買えますが、年30万円が10年で300万円。これも無視できない額です。

だから、事業の規模に応じて範囲を変えるのが現実的です。小さいうちは自分で、大きくなったら頼む。

出典税理士報酬の相場はいくら?顧問料が変動する要因や税理士を選ぶ際のポイントを解説 (弥生/2026年8月23日確認)

株式会社なら、決算公告と重任登記が加わる

株式会社なら、決算公告と重任登記が加わるを表したイラスト

株式会社には、合同会社にはない義務があります。決算公告と、役員の重任登記。

決算公告を官報でする場合、枠付公告(会社等・普通)は1枠で税込4万882円。全国官報販売協同組合が料金表を公開しています。2026年8月23日に確認した、令和8年4月1日掲載分以降の金額です。

決算公告は複数枠になるのが一般的で、2枠なら税込8万1,764円。これを毎年やれば、10年で81万円を超えます。

重任登記は、役員の任期が満了するたび。登録免許税は1件につき3万円、資本金の額が1億円以下の会社については1万円。国税庁が税額表で示しています。2026年8月23日に確認しました。

任期を最長の10年にしておけば、10年で1万円です。こちらは小さい。

10年分の維持費を株式会社と合同会社で比べた積み上げ図
決算公告をきちんとやると、10年で80万円ほどの差になります

この図でわかるのは、株式会社と合同会社の10年の差は、決算公告の分がほとんどだということです。

ただ、現実には決算公告をしていない中小企業は多いとされています。その場合、10年の維持費はほぼ同じになります。

会社設立の費用の相場は、株式会社と合同会社で10万円ほど違います。10年の維持費で見れば、その差は1%以下です。

だから、会社設立の費用の安さだけで合同会社を選ぶのは、判断の材料としては弱い。

選ぶなら、株式による資金調達ができるか、上場できるか、取引先が株式会社を求めるかといった事業の要素で選んでください。

出典官報公告掲載料金 | 官報公告 | 全国官報販売協同組合 (全国官報販売協同組合/2026年8月23日確認)

消費税は、売上が伸びれば伸びるほど大きくなる

消費税は、売上が伸びれば伸びるほど大きくなるを表したイラスト

ここまでは固定費の話でした。消費税は、売上に比例して増えます。

資本金1,000万円未満で会社設立をすると、原則として最初の2期は納税義務が免除されます。国税庁がタックスアンサーで示しています。2026年8月23日に確認しました。

3期目からは、1期目の課税売上高で判定されます。1,000万円を超えていれば課税事業者です。

売上1,000万円なら、納税額は業種によりますが数十万円。売上3,000万円なら、その3倍です。

10年で見ると、事業が伸びるほど消費税の総額は大きくなります。固定費とは性質が違います。

  • 1期目・2期目免税。ただしインボイス登録をすれば課税事業者に
  • 3期目以降1期目の売上で判定。1,000万円超なら課税
  • 簡易課税売上5,000万円以下なら選べます。みなし仕入率で計算
  • インボイス登録すると免税期間を失います

この判断は、会社設立の費用の相場とはまったく別の次元です。10年で数百万円が動くこともあります。

ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。インボイス発行事業者に登録しなければ、最初の2期は消費税を納めません。

そのかわり、取引先が仕入税額控除を受けられません。課税事業者と取引する業種なら、価格の値引きを求められたり、取引を切られたりすることがあります。

取引先が一般消費者中心なら、登録しないほうが手元に残るお金は多くなります。業種によって結論が変わります。

会社設立の費用の相場を4万円下げるために電子定款を選ぶのと、この判断とでは桁が二つ違います。

出典No.6501 納税義務の免除 (国税庁/2026年8月23日確認)

10年分を合計すると、いくらになるか

10年分を合計すると、いくらになるかを表したイラスト

ここまでの項目を合計します。役員報酬を月30万円、税理士に顧問を依頼、事務所は借りないという前提です。

10年分の費用の合計
項目 10年の累計
会社設立の費用(株式会社) 16万6,500円
均等割 70万円
社会保険の会社負担 540万円
税理士 350万円
決算公告(株式会社・2枠) 81万7,640円
重任登記 1万円
会計ソフト・更新など 35万円
合計(会社設立の費用を含む) 1,094万4,140円

※ 2026年8月23日時点の目安です。消費税と法人税は事業の状況によるため含めていません。

会社設立の費用は、この合計の1.5%です。

つまり、会社設立の費用を全額ゼロにできたとしても、10年の総額は1.5%しか減りません。

それに対して、役員報酬を月30万円から月20万円にすれば、社会保険の会社負担が10年で180万円減ります。総額の16%です。

税理士を顧問から決算だけに変えれば、10年で200万円ほど減ります。総額の18%です。

会社設立の費用の相場を調べる時間があるなら、この二つを考える時間を取ってください。

ただし、どちらも手放すものがあります。役員報酬を下げれば生活が苦しくなり、将来の年金も減ります。

税理士を減らせば、判断を自分ですることになります。論点を見落として、余分な税金を払うことがあります。

だから、単純に削ればよいという話ではありません。それでも、どこに金額があるかは知っておいてください。

出典会社設立の費用はいくら?株式会社と合同会社の維持費もわかりやすく解説 (freee/2026年8月23日確認)

まとめ:10年で1,000万円。設立費用は1.5%

まとめ:10年で1,000万円。設立費用は1.5%を表したイラスト

会社設立の維持費を10年で見た結果を、まとめます。

  1. 10年の総額はおよそ1,094万円(役員報酬月30万円・税理士に顧問を依頼した場合)
  2. 会社設立の費用はそのうち1.5%
  3. 一番大きいのは社会保険の会社負担で540万円
  4. 次が税理士で350万円、均等割が70万円
  5. 株式会社なら決算公告が加わって81万円ほど

会社設立の費用の相場は、株式会社で16万円台から、合同会社で6万円台から。10年で見れば、誤差の範囲です。

一番大きい項目
社会保険の会社負担。役員報酬の設計で変わります
次に大きい項目
税理士。頼む範囲で変わります
避けられない項目
均等割の年7万円。赤字でも払います
会社設立の費用
総額の1.5%。削っても大勢に影響しません

会社設立の費用を数万円抑えることに時間をかけるより、役員報酬と税理士の範囲を考えるほうが、桁違いに効きます。

そして、この設計は一度決めれば終わりではありません。毎期、見直す機会があります。役員報酬は事業年度の始めから3か月以内に決め直せます。

独学で全部を押さえるのは、正直しんどい。論点が多すぎます。

会社設立の費用の相場を調べるのと同じ熱量で、設立後の設計を任せられる相手を探すほうが、10年で見れば安くつくことがあります。

この記事の内容は2026年8月23日時点のものです。制度は改正されます。個別の判断は、必ず税理士にご相談ください。

出典会社設立でかかる維持費や年間費用は? (マネーフォワード/2026年8月23日確認)

10年で見ると、設立費用は誤差になります

会社設立の費用の相場は、株式会社で16万円台から、合同会社で6万円台から。10年分の維持費と比べると、1%から2%にしかなりません。

だから、会社設立の費用を1万円下げるために何日も調べるより、維持費の設計に半日使うほうが、桁違いに効きます。

この記事の内容は2026年8月23日時点のものです。制度は改正されます。出典としてリンクした情報で最新の内容を確かめ、判断そのものは税理士にご相談ください。

この記事は判断の材料になりましたか?

あわせて読みたい記事

同じテーマで、判断の材料になる記事です