本文へ移動する

会社設立 資本金 費用

会社設立の資本金は費用ではない。それでも費用に効いてくる三つの場面

この記事は、こういう方に向けて書いています

会社設立の準備を進めていて、資本金をいくらにするか決めかねている方に向けた記事です。費用の面から見て、資本金がどう効くのかを知りたい、という段階を想定しています。

先に押さえておきたいのは、資本金は費用ではないという点です。会社の口座に残るお金なので、支出ではありません。ただし、会社設立の費用にも設立後の費用にも効いてきます。

この記事では、資本金が効いてくる三つの場面を一次情報で確かめます。金額は2026年8月22日に確認したものです。個別の判断は税理士・司法書士にご相談ください。

資本金は費用ではありません

資本金は費用ではありませんを表したイラスト

会社設立の費用を調べていると、資本金がその一部のように扱われていることがあります。資本金は費用ではありません。

資本金は、会社に払い込むお金です。払い込んだあとは会社のお金として残ります。設備を買うことも、仕入れに使うことも、家賃を払うこともできます。

これに対して、登録免許税や定款認証の手数料は支出です。払ったら戻ってきませんし、会社に残りません。この二つは性質が違います。

資本金と会社設立の費用が別のものであることを示した比較図
資本金は会社に残り、費用は出ていきます

ですから、「会社設立に資本金100万円と費用18万円が必要」というとき、出ていくのは18万円だけです。100万円は会社の口座に移るだけです。相場として語られる18万円のほうが、実際の支出です。

とはいえ、手元に用意しておく必要がある現金という意味では同じです。資金の計画を立てるときは、両方を合わせて考えてください。

法人口座は設立後でないと開けません資本金は、設立の段階では発起人(合同会社なら代表社員)の個人口座に払い込みます。法人口座は登記が完了してからでないと開けないためです。設立後に法人口座を開いて、そこへ移すことになります。

そして、資本金は登記事項として公開されます。誰でも登記事項証明書を取れば見られる数字です。この点も、あとで効いてきます。

以下、資本金が会社設立の費用に効いてくる三つの場面を確かめます。

出典資本金とは?役割や決め方、平均額・相場、会社設立時の払込方法も簡単に解説 (弥生/2026年8月22日確認)

効く場面①:登録免許税(ただし下限がある)

効く場面①:登録免許税(ただし下限がある)を表したイラスト

ひとつ目が登録免許税です。会社設立の登記のときに納める税金で、税率は資本金の額の1,000分の7です。

資本金に比例するのですから、資本金を下げれば税額も下がる。理屈のうえではそうですが、実際にはそうなりません。下限があるからです。

株式会社は15万円、合同会社は6万円。計算した額がこれに満たないときは、下限の額を納めます。2026年8月22日時点で、国税庁の登録免許税の税額表に記載されている内容です。

割り戻すと、株式会社は資本金がおよそ2,143万円、合同会社はおよそ857万円を超えるまで、下限の額で固定されます。

資本金の額ごとに株式会社の登録免許税を並べた棒グラフ
資本金2,143万円までは、いくらにしても15万円です

つまり、多くの会社設立では、資本金は登録免許税に効きません。資本金1円でも100万円でも1,000万円でも、株式会社なら15万円です。相場の中でいちばん大きい項目が動かない、ということです。

「資本金を下げれば会社設立の費用が安くなる」という話は、この項目については当てはまりません。

効いてくるのは、資本金を2,000万円以上にする場合です。そこまで大きくする予定があるなら、税額の計算を忘れないでください。

合同会社の場合は下限が6万円ですから、およそ857万円が分かれ目です。株式会社より早く効きはじめます。

出典No.7191 登録免許税の税額表 (国税庁/2026年8月22日確認)

効く場面②:定款認証の手数料

効く場面②:定款認証の手数料を表したイラスト

ふたつ目が定款認証の手数料です。株式会社にだけ効きます。合同会社には定款認証がありませんので、資本金は手数料に影響しません。

手数料は資本金等の額で区分されます。100万円未満なら3万円、100万円以上300万円未満なら4万円、300万円以上なら5万円。そして100万円未満のうち一定の条件を満たすものは1万5,000円です。2026年8月22日時点で、日本公証人連合会が案内している内容です。

1万5,000円になる条件は、資本金等の額が100万円未満であることに加えて、発起人が全員自然人で3人以下、設立時発行株式の全部引受けの定めがある、取締役会を置く定めがないこと。

資本金と定款認証の手数料(2026年8月22日に日本公証人連合会で確認)
資本金等の額 条件 手数料
100万円未満 四条件をすべて満たす 1万5,000円
100万円未満 満たさない 3万円
100万円以上300万円未満 4万円
300万円以上 5万円

※ 令和6年12月1日施行の改正を反映しています。合同会社は定款認証そのものが不要です。

いちばん安い1万5,000円と、いちばん高い5万円の差は3万5,000円。これが、資本金が会社設立の費用に与える影響のほぼすべてです。

3万5,000円。これを大きいと見るか小さいと見るかですが、会社設立の費用の相場が18万円ほどだとすれば、2割弱にあたります。相場の幅の一部を説明する金額ではあります。

ただし、この3万5,000円のために資本金を100万円未満にすべきかというと、そう単純ではありません。資本金は法人口座の開設や許認可、取引先の与信にも関わります。

そして、合同会社を選べばこの項目そのものがなくなります。資本金が会社設立の費用の相場に効くのは、株式会社を選んだ場合だけということです。

出典会社の定款手数料の改定 (日本公証人連合会/2026年8月22日確認)

効く場面③:設立後の消費税と均等割

効く場面③:設立後の消費税と均等割を表したイラスト

三つ目が、設立後の費用です。ここがいちばん金額として大きくなります。

まず消費税。国税庁の案内によると、新設法人で事業年度開始の日の資本金の額が1,000万円以上だと、その事業年度は納税義務が免除されません。2026年8月22日時点で確認した内容です。

資本金1,000万円未満なら設立当初は免除される場合がありますが、特定期間の判定や特定新規設立法人に該当するかどうかで結論が変わります。単純に2年間免税とは言い切れません。

次に法人住民税の均等割。総務省が公表している標準税率では、資本金等の額が1,000万円以下かつ従業者数50人以下の場合、年7万円。1,000万円を超えると区分が上がります。

資本金1,000万円の線で法人住民税の均等割がどう変わるかを並べた棒グラフ
1,000万円を超えると、毎年11万円の差が出ます

均等割の差は年11万円。しかも毎年です。設立時の定款認証の手数料の差3万5,000円とは、桁が違います。

消費税についても、免税の判定が変わればその影響は大きくなります。売上規模によっては、年間で数十万円から数百万円の差になりえます。

ですから、資本金を決めるときにいちばん気にすべきは、設立時の3万5,000円ではなく、1,000万円という線です。

この論点は制度が複雑です。特定期間の判定、特定新規設立法人、インボイスの登録。この記事では判断を示しません。国税庁の一次情報を確かめたうえで、税理士にご相談ください。

出典No.6531 新規開業又は法人の新規設立のとき (国税庁/2026年8月22日確認)

資本金を下げると、会社設立の費用はいくら下がるのか

資本金を下げると、会社設立の費用はいくら下がるのかを表したイラスト

資本金を下げると、会社設立の費用が実際にいくら下がるのかを計算します。

資本金を下げたときに会社設立の費用がいくら下がるか(2026年8月22日に一次情報で確認)
会社の種類 資本金300万円 資本金100万円未満(条件を満たす)
株式会社(登録免許税) 15万円 15万円 0円
株式会社(定款認証) 5万円 1万5,000円 3万5,000円
株式会社(合計) 20万円 16万5,000円 3万5,000円
合同会社(登録免許税) 6万円 6万円 0円
合同会社(合計) 6万円 6万円 0円

※ 謄本代は含めていません。株式会社の四条件を満たす場合で計算しています。

この表のとおり、株式会社で最大3万5,000円、合同会社では0円です。会社設立の費用の相場を大きく動かすものではありません。相場の幅は、会社の種類と定款の形で決まります。

それなのに、資本金を極端に小さくすると、あとで不利になりうることが指摘されています。法人口座の開設、許認可の要件、取引先の与信。

さらに、あとから資本金を増やすには増資の登記が必要で、登録免許税がかかります。設立のときに必要な額を入れておくほうが安く済みます。

下限の範囲内であれば、資本金を大きくしても登録免許税は増えません。株式会社なら2,143万円まで、合同会社なら857万円までは同じ額です。

つまり、下限の範囲内で、1,000万円未満。会社設立の費用の面から見れば、この範囲で必要な額を決めるのが無難ということになります。

会社設立の費用の相場を3万5,000円下げるために資本金を決めるのは、割に合わないことが多いというのがこの記事の見方です。相場より安く設立できても、あとで増資が必要になれば意味がありません。

出典会社設立の費用はいくら?株式会社と合同会社の維持費もわかりやすく解説 (freee/2026年8月22日確認)

資本金は、費用以外のところで効いてくる

資本金は、費用以外のところで効いてくるを表したイラスト

資本金は、会社設立の費用以外のところでも効いてきます。登記事項として公開される数字だからです。

まず、法人口座の開設です。金融機関は会社の実態を審査します。資本金が極端に小さいと、事業の実態を確かめる材料が減ります。開設できないとは限りませんが、説明を求められることはあります。

次に、許認可です。業種によっては、資本金や純資産の額に要件が定められていることがあります。要件を満たさなければ、許認可が下りません。

そして、取引先の与信です。取引を始めるときに登記事項証明書を求められることがあります。資本金の額は、そこに載っています。

さらに、運転資金の問題があります。資本金1円で設立すると、会社にお金がない状態から始まります。代表者が立て替えて経費を払い、あとで精算するという形になりますが、帳簿の管理が煩雑になります。

資本金を決めるときの費用以外の観点を並べたチェックリスト
費用より、こちらの観点のほうが重いことがあります

費用の面から資本金を決めるのは、優先順位としては最後でよいと考えています。効く金額が3万5,000円と小さいからです。

まず当面の運転資金として必要な額を出し、許認可の要件を確かめ、1,000万円を超えないかを見る。そのうえで、100万円未満に収まるなら定款認証の手数料も下がるという順序です。

会社設立の費用の相場を下げるために資本金を決めると、あとで増資が必要になって、かえって費用がかかることがあります。

出典資本金とは?会社設立時はいくらに設定すべき?最低金額や決め方、払込時期などを解説 (マネーフォワード/2026年8月22日確認)

資本金の払込みにかかる、細かい費用

資本金の払込みにかかる、細かい費用を表したイラスト

資本金の払込みそのものにも、細かい費用がかかることがあります。

会社設立の段階では、発起人(合同会社なら代表社員)の個人口座に払い込みます。法人口座は登記が完了してからでないと開けないためです。

このとき、預け入れではなく振込で行うのが一般的です。誰がいくら払い込んだのかを明確にするためです。発起人が複数いる場合は、それぞれが振り込みます。

振込には手数料がかかることがあります。金額は金融機関によって異なりますので、公式ページでご確認ください。同一の金融機関内なら無料のこともあります。

そして、払込みを証明する書類を作ります。通帳の表紙、裏表紙、払込みが記帳されたページの写しを取り、綴じて登記の添付書類にします。コピー代がかかる程度です。

設立後は、法人口座を開いて資本金を移します。このときにも振込手数料がかかることがあります。

いずれも数百円の話で、会社設立の費用の相場を動かすものではありません。相場に現れない細かい支出ですが、忘れずに数えておいてください。

なお、法人口座の維持には手数料がかかる場合があります。金融機関によって異なりますので、口座を選ぶときに確かめてください。設立後の費用として、毎月かかることもあります。

払込みの日付は、定款を作成した日以降である必要があります。順番を間違えると添付書類として使えませんので、日付は確かめてください。

出典【読むだけで分かる】会社設立時の資本金払込完全ガイド (GMOあおぞらネット銀行/2026年8月22日確認)

まとめ:資本金は費用ではないが、費用に効く

まとめ:資本金は費用ではないが、費用に効くを表したイラスト

会社設立の資本金と費用の関係を、まとめます。

  1. 資本金は費用ではありません。会社の口座に残るお金です。ただし手元に用意しておく必要がある現金です。
  2. 登録免許税には、ほとんど効きません。下限があるため、株式会社は資本金2,143万円まで、合同会社は857万円まで同じ額です。
  3. 定款認証の手数料には効きます。株式会社だけ。100万円未満と300万円以上で、最大3万5,000円の差になります。
  4. 設立後の消費税と均等割に効きます。資本金1,000万円という線があります。均等割は年7万円が年18万円に。設立時の3万5,000円より大きい話です。
  5. 費用以外にも効きます。法人口座、許認可、取引先の与信。登記事項として公開される数字です。

金額をもう一度整理します。いずれも2026年8月22日に一次情報で確認したものです。登録免許税は株式会社が下限15万円、合同会社が下限6万円(国税庁 No.7191)。定款認証の手数料は1万5,000円から5万円(日本公証人連合会)。法人住民税の均等割は資本金等1,000万円以下で年7万円、1,000万円超1億円以下で年18万円(総務省・標準税率、従業者50人以下)。消費税は資本金1,000万円以上の新設法人だと設立当初から課税事業者(国税庁 No.6531)。

これらは改定されます。必ずリンク先の一次情報で確かめてください。均等割は自治体によっても異なります。

資本金を費用として決めないでください。設立時に効くのは最大3万5,000円で、会社設立の費用の相場を大きく動かすものではありません。相場を下げたいなら、会社の種類と定款の形を見てください。

決めるときの順序は、当面の運転資金 → 許認可の要件 → 1,000万円の線 → 100万円の線。この順で見てください。費用の観点はいちばん最後です。

この記事は一般的な費用の解説であり、個別の見積りや税務相談ではありません。資本金の額と消費税の判定については、税理士にご相談ください。

出典資本金とは?役割や決め方、平均額・相場、会社設立時の払込方法も簡単に解説 (弥生/2026年8月22日確認)

資本金は、費用として決めないでください

資本金を下げても、会社設立の費用はほとんど下がりません。下がるのは株式会社の定款認証の手数料だけで、最大3万5,000円。合同会社ならゼロです。

むしろ効いてくるのは設立後です。資本金1,000万円を超えると、消費税の納税義務と均等割の区分が変わります。設立時の3万5,000円より、こちらのほうが金額としては大きくなります。

この記事の金額は2026年8月22日時点のものです。税率も手数料も改定されます。出典としてリンクした各機関のページで最新の内容を確かめ、判断そのものは税理士にご相談ください。

この記事は判断の材料になりましたか?

あわせて読みたい記事

同じテーマで、判断の材料になる記事です