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会社設立 費用 社会保険

会社設立で社会保険の会社負担はいくらになるか。料率を一次情報で確かめる

この記事は、こういう方に向けて書いています

会社設立を検討していて、「社会保険の会社負担が重い」と聞いて気になっている方に向けた記事です。実際にいくらなのかを、料率から計算します。

会社設立の費用の相場には、この金額が含まれていません。設立時にかかるものではないからです。けれど、毎月かかります。

この記事では、日本年金機構と協会けんぽの公表資料をもとに計算します。料率は2026年8月23日に確認したものです。個別の判断は社会保険労務士または税理士にご相談ください。

社会保険の会社負担は、三つの料率でできている

社会保険の会社負担は、三つの料率でできているを表したイラスト

会社設立をして役員報酬を出すと、社会保険の会社負担が発生します。中身は三つです。

厚生年金保険料、健康保険料、そして子ども・子育て拠出金。このうち前の二つは労使折半、拠出金は会社が全額負担します。

厚生年金保険料率は18.300%。日本年金機構が令和8年度の保険料額表で示しています。2026年8月23日に確認しました。労使折半なので、会社負担は9.150%です。

子ども・子育て拠出金率は0.36%。令和8年4月1日から適用されています。事業主が全額負担します。

社会保険の会社負担と本人負担の内訳を並べた積み上げ図
会社負担のほうが、拠出金の分だけ大きくなります

健康保険料率は、加入する健康保険によって変わります。協会けんぽなら都道府県ごとです。

協会けんぽの令和8年度の都道府県単位保険料率は、東京都で9.85%。令和7年度の9.91%から引き下げられました。2026年8月23日に確認しました。

労使折半なので、会社負担は4.925%です。

40歳以上は介護保険料が加わります40歳から64歳までの方は、介護保険第2号被保険者として介護保険料もかかります。これも労使折半です。

この三つを足すと、会社負担はおよそ14.4%。40歳以上なら介護保険料が加わって15%を超えます。

だから、この記事では役員報酬のおよそ15%という言い方をします。会社設立の費用の相場を計算するときと同じで、目安の数字です。

出典厚生年金保険の保険料 (日本年金機構/2026年8月23日確認)

役員報酬30万円のときの、具体的な金額

役員報酬30万円のときの、具体的な金額を表したイラスト

実際の金額を出します。役員報酬を月30万円とした場合です。

厚生年金保険料は、標準報酬月額30万円(等級19)で全額5万4,900円、折半額2万7,450円。日本年金機構の令和8年度保険料額表による金額です。2026年8月23日に確認しました。

健康保険料は、協会けんぽ東京都の9.85%で計算すると、全額2万9,550円、折半額1万4,775円です。

子ども・子育て拠出金は0.36%で、1,080円。これは会社が全額負担します。

役員報酬30万円のときの、社会保険の会社負担
項目 料率 会社負担(月)
厚生年金保険料 9.150%(折半後) 27,450円
健康保険料(東京・協会けんぽ) 4.925%(折半後) 14,775円
子ども・子育て拠出金 0.36%(全額) 1,080円
合計 14.435% 43,305円

※ 標準報酬月額30万円で計算。40歳未満で介護保険料がかからない場合(2026年8月23日確認)。

合計で月4万3,305円。年間では51万9,660円です。

会社設立の費用の相場が株式会社で16万円台からであることを考えると、社会保険の会社負担だけで、毎年その3倍が出ていきます。

そして、これは会社負担だけの金額です。本人負担分も同じくらいあります。役員報酬30万円のうち、手取りに残るのは25万円ほどになります。

会社設立の費用の相場を調べている段階では、この金額は見えません。設立時に払うものではないからです。

けれど、事業を続けるかぎり毎月かかります。会社設立の費用より、こちらのほうが判断に効いてきます。

40歳以上なら介護保険料が加わるので、会社負担はもう少し増えます。役員報酬の15%前後と考えておいてください。

出典厚生年金保険の保険料 (日本年金機構/2026年8月23日確認)

役員報酬の額を変えると、会社負担がどう変わるか

役員報酬の額を変えると、会社負担がどう変わるかを表したイラスト

社会保険料は、標準報酬月額という区分をもとに計算します。実際の報酬額そのものではありません。

厚生年金保険の標準報酬月額は、8万8,000円から65万円まで32等級。日本年金機構の保険料額表で確認できます。2026年8月23日に確認しました。

つまり、上限があります。役員報酬を月100万円にしても、厚生年金保険料は65万円の等級で頭打ちです。

役員報酬の額ごとの社会保険の会社負担を並べた棒グラフ
報酬に比例して増えますが、上限があります

この図でわかるのは、役員報酬を月10万円にするか月30万円にするかで、年間の会社負担が35万円変わるということです。

会社設立の費用の相場が株式会社で16万円台からであることを考えると、その2倍以上の差が毎年つきます。

ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。役員報酬を下げれば、社会保険の負担は減ります。

そのかわり、将来の年金額が減ります。厚生年金は、払った保険料に応じて受け取る額が決まります。払い損ではありません。

それに、会社に利益が残って法人税がかかります。役員報酬は損金になりますが、内部留保は課税されたあとのお金です。

そして、生活費が足りなくなります。役員報酬を極端に下げるのは、生活が別の収入で成り立っている場合の選択です。

会社設立の費用の相場を数万円下げるより、この設計のほうがはるかに効きます。ただし、単純に下げればよいという話ではありません。

出典令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます|都道府県毎の保険料率|保険料率|協会けんぽの事業|協会けんぽについて|協会けんぽ (全国健康保険協会/2026年8月23日確認)

会社設立の費用の相場と、社会保険を並べる

会社設立の費用の相場と、社会保険を並べるを表したイラスト

会社設立の費用と社会保険を並べてみます。規模感がつかめます。

会社設立の費用の相場は、株式会社で16万円台から、合同会社で6万円台から。一度きりです。2026年8月23日に確認しました。

社会保険の会社負担は、役員報酬30万円なら年52万円ほど。毎年です。

会社設立の費用と、毎年かかる費用
項目 金額 回数
会社設立の費用(合同会社) 6万250円 一度きり
会社設立の費用(株式会社) 16万6,500円 一度きり
法人住民税の均等割 年7万円 毎年
社会保険の会社負担(報酬月30万円) 年52万円ほど 毎年

※ 会社設立の費用は電子定款・自分で手続きした場合。定款認証手数料は最低区分(2026年8月23日確認)。

この表でわかるのは、社会保険の会社負担が、会社設立の費用の3倍以上で、しかも毎年だということです。

合同会社なら、社会保険の2か月分より会社設立の費用のほうが安い。

だから、会社設立の費用の相場を1万円下げるために何日も調べるのは、時間の使い方として効率が悪い。

同じ時間を役員報酬の設計に使えば、年に数十万円が動きます。

もちろん、削れるものは削ったほうがよい。電子定款で4万円、合同会社でさらに10万円。それはそれで意味があります。

ただ、そこで止まらないでください。その先に、桁の大きい話があります。

会社設立の費用の相場は入口の数字です。社会保険は、事業を続けるかぎり続く数字です。

出典会社設立でかかる維持費や年間費用は? (マネーフォワード/2026年8月23日確認)

賞与にも社会保険料がかかる

賞与にも社会保険料がかかるを表したイラスト

役員報酬だけでなく、賞与にも社会保険料がかかります。

賞与に係る保険料は、賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額(標準賞与額)に、保険料率を乗じた額になります。日本年金機構の保険料額表に説明があります。2026年8月23日に確認しました。

標準賞与額には上限があります。厚生年金保険と子ども・子育て拠出金は1か月あたり150万円が上限です。

つまり、賞与を100万円出せば、会社負担はおよそ14万4,000円です。

会社設立の費用の相場が合同会社で6万円台であることを考えると、賞与1回で会社設立の費用の2倍以上が社会保険料として出ていきます。

ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。役員に賞与を出さなければ、その分の社会保険料はかかりません。

そのかわり、利益が出た年に役員へ還元する手段が減ります。役員賞与を損金にするには事前確定届出給与の届出が必要で、手続きが要ります。

それに、将来の年金額にも影響します。標準賞与額も年金の計算に入ります。

役員報酬と賞与のバランスは、社会保険と所得税と法人税の三つを見て決めることになります。変数が多い。

会社設立の費用の相場を調べるのとは、必要な知識の種類が違います。ここは相談する価値がある部分です。

出典厚生年金保険の保険料 (日本年金機構/2026年8月23日確認)

従業員を雇うと、会社負担が増える

従業員を雇うと、会社負担が増えるを表したイラスト

従業員を雇うと、その人の社会保険料も会社が半分負担します。

つまり、月20万円の従業員を一人雇うと、会社の負担は20万円ではなく23万円ほどになります。

さらに、労働保険(労災保険と雇用保険)もかかります。労災保険は会社が全額負担、雇用保険は労使で分担します。

合わせると、人件費のおよそ1.15倍から1.2倍が会社の負担になると考えておくとよいでしょう。

  • 厚生年金保険料労使折半。会社負担は9.150%
  • 健康保険料労使折半。協会けんぽ東京なら会社負担4.925%
  • 子ども・子育て拠出金会社が全額負担。0.36%
  • 労働保険労災保険は会社が全額、雇用保険は労使で分担

会社設立の費用の相場を調べている段階では、まだ従業員はいないでしょう。それでも、人を雇う計画があるなら、この比率を頭に入れておいてください。

年収300万円の人を雇うと、会社の負担はおよそ345万円。求人票の金額と、実際の負担は違います。

それから、従業員が50人を超えると法人住民税の均等割も上がります。資本金1千万円以下なら、市町村民税が5万円から12万円へ。

人を増やすことは、社会保険と均等割の両方に効きます。

会社設立の費用の相場は一度きりの数字ですが、人件費とそれに伴う社会保険は、事業の規模に比例して増え続けます。

だから、事業計画を立てるときは、人件費の1.15倍で見ておいてください。

出典新規適用の手続き (日本年金機構/2026年8月23日確認)

料率は毎年変わる。前提を置き直す必要がある

料率は毎年変わる。前提を置き直す必要があるを表したイラスト

社会保険の料率は、毎年見直されます。

協会けんぽの都道府県単位保険料率は、毎年3月分(4月納付分)から改定されます。令和8年度は、東京都が9.91%から9.85%に引き下げられました。2026年8月23日に確認しました。

一方、厚生年金保険料率は18.300%で据え置きです。平成29年9月1日から適用されており、それ以降は変わっていません。

子ども・子育て拠出金率は0.36%。令和8年4月1日から適用で、令和7年4月分から令和8年3月分までの期間も0.36%でした。

社会保険の料率
項目 令和8年度の料率 改定の頻度
厚生年金保険料率 18.300% 平成29年9月から据え置き
健康保険料率(東京・協会けんぽ) 9.85% 毎年3月分から改定
子ども・子育て拠出金率 0.36% 年度ごとに見直し

※ 2026年8月23日に日本年金機構と全国健康保険協会の公表資料で確認した数字です。

だから、この記事の数字も、来年には変わっている可能性があります。

会社設立の費用の相場と違って、社会保険は毎年前提を置き直す必要があります。登録免許税15万円は当分変わりませんが、健康保険料率は毎年動きます。

といっても、変動の幅は小さい。9.91%が9.85%になった程度です。役員報酬30万円なら、年間で2,000円ほどの差にしかなりません。

事業計画に影響するような変動ではありません。15%前後という目安で計算しておけば足ります。

ただ、実際の納付額は保険料額表で確認してください。標準報酬月額の等級によって、細かい端数が変わります。

会社設立の費用の相場を調べるときと同じで、目安と実額は違います。

出典令和8年度保険料額表|都道府県毎の保険料額表|保険料率|協会けんぽの事業|協会けんぽについて|協会けんぽ (全国健康保険協会/2026年8月23日確認)

まとめ:会社負担は役員報酬のおよそ15%

まとめ:会社負担は役員報酬のおよそ15%を表したイラスト

社会保険の会社負担について、まとめます。

  1. 厚生年金保険料率は18.300%。労使折半で、会社負担は9.150%
  2. 健康保険料率は協会けんぽ東京都で9.85%。折半で会社負担は4.925%
  3. 子ども・子育て拠出金は0.36%。会社が全額負担します
  4. 合計するとおよそ14.4%。40歳以上なら介護保険料が加わります
  5. 役員報酬30万円なら、会社負担は月4万3,000円ほど、年52万円ほど

会社設立の費用の相場は、株式会社で16万円台から、合同会社で6万円台から。社会保険の会社負担は、その3倍以上が毎年です。

会社負担の目安
役員報酬のおよそ15%
報酬30万円のとき
月4万3,000円ほど、年52万円ほど
賞与
標準賞与額に同じ料率。上限は月150万円
従業員を雇うと
人件費のおよそ1.15倍を見ておいてください

会社設立の費用を数万円抑えることに時間をかけるより、役員報酬をいくらにするかを考えるほうが、金額としてはるかに大きい。

そして、役員報酬は定期同額給与のルールがあるので、会社設立から3か月以内に決めて、そのあと1年間は変えられません。

つまり、会社設立の直後の判断が、1年分の負担を決めます。

この設計は、社会保険と所得税と法人税の三つを見ることになります。独学で最適解を出すのは、正直しんどい。

この記事の内容は2026年8月23日時点のものです。料率は毎年改定されます。個別の判断は、必ず社会保険労務士または税理士にご相談ください。

出典厚生年金保険の保険料 (日本年金機構/2026年8月23日確認)

役員報酬を決める前に、この数字を見てください

社会保険の会社負担は、役員報酬のおよそ15%です。月30万円なら月4万5,000円ほど、年間で54万円。

会社設立の費用の相場が株式会社で16万円台からであることを考えると、社会保険の会社負担だけで、毎年その3倍以上が出ていきます。役員報酬を決める前に、この数字を見てください。

この記事の内容は2026年8月23日時点のものです。料率は毎年改定されます。出典としてリンクした公表資料で最新の数字を確かめてください。

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