会社設立の後、最初の1年でいくらかかるか。月ごとに並べて確かめる
この記事は、こういう方に向けて書いています
会社設立の費用の相場を調べ終えて、「では設立したあとは?」というところで手が止まっている方に向けた記事です。設立の実費はわかったけれど、そのあとが見えない、という段階でしょう。
会社設立の費用の相場は、どのサイトにも書いてあります。設立後の1年で何がいつ出ていくのかを、月ごとに並べた資料は少ない。
この記事では、それを月ごとに並べます。金額は2026年8月23日に確認したものです。個別の判断は税理士にご相談ください。
会社設立の費用は入口の数字でしかない

会社設立の費用の相場は、株式会社で16万円台から、合同会社で6万円台からです。電子定款で自分で手続きした場合の実費です。2026年8月23日に確認しました。
この金額は、一度きりです。二度と払いません。
それに対して、会社設立の後にかかる費用は毎年続きます。そして、1年で設立の実費を追い抜きます。

この図でわかるのは、役員報酬を出すかどうかで、設立後の費用が大きく変わるということです。
役員報酬を出さなければ、社会保険の加入義務がありません。均等割の年7万円と、口座や会計ソフトの費用だけで済みます。
役員報酬を出せば、社会保険に入ります。役員一人でも加入します。月30万円なら、会社負担だけで年54万円です。
会社設立の費用の相場を調べる方は多いのですが、この分岐を知ってから設立日を決める方は少ない。
以下、設立後の1年を月ごとに並べます。8月に会社設立をして、7月決算という前提で書きます。
自分の設立月に読み替えて使ってください。
なお、この記事では株式会社と合同会社を区別していません。設立後にかかる費用は、どちらもほぼ同じだからです。均等割も社会保険も、会社の種類では変わりません。
会社設立の費用の相場は株式会社のほうが14万円ほど高いのですが、その差が効くのは初年度だけです。2年目からは同じ額が出ていきます。
合同会社を選ぶ理由として会社設立の費用の安さを挙げる方は多いのですが、長い目で見れば、その差は小さくなっていきます。
出典会社設立でかかる維持費や年間費用は? (マネーフォワード/2026年8月23日確認)
設立の月:法人口座の開設と、届出の準備

登記が完了したら、まず登記事項証明書と印鑑証明書を取ります。提出先の数だけ必要です。
登記事項証明書は書面請求で1通600円、印鑑証明書は書面請求で1通500円。2026年8月23日に確認した金額です。数通取ると、数千円になります。
次に、税務署への届出です。法人設立届出書は、設立の日(設立登記の日)以後2か月以内に提出します。国税庁がタックスアンサーで示しています。2026年8月23日に確認しました。
届出そのものに費用はかかりません。用紙は無料で、提出も無料です。
- 登記事項証明書1通600円(書面請求)。提出先の数だけ取ります
- 印鑑証明書1通500円(書面請求)。同上
- 法人設立届出書無料。設立の日以後2か月以内
- 青色申告の承認申請書無料。ただし期限が短い
同じ月に、法人口座の開設を申し込みます。審査があるので、すぐには使えません。ネット銀行なら数日、都市銀行なら数週間かかることもあります。
口座の維持手数料は、多くの銀行で無料です。ただし、振込手数料はかかります。月に何件も振り込むなら、年間で数万円になります。
それから、会計ソフトの契約。年1万円から4万円ほどが目安です。無料のものもありますが、法人の決算まで対応するものは有料です。
この月の支出は、証明書代の数千円と、会計ソフトの費用くらいです。会社設立の費用の相場に比べれば小さい。
大きいのは、次の月からです。
ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。登記事項証明書はオンライン請求のほうが安い。書面請求600円に対して、オンライン請求・郵送受取なら520円、窓口受取なら490円です。2026年8月23日に確認した金額です。
そのかわり、申請者情報の登録が必要です。一度きりの取得なら、法務局の窓口で書面請求したほうが早いこともあります。数十円の差なので、急ぐなら窓口で構いません。
会社設立の費用の相場を語るときに、この数百円まで含めている記事は少ない。ただ、実際には必要になります。
出典No.5100 新設法人の届出書類 (国税庁/2026年8月23日確認)
設立から3か月以内:青色申告の申請と、役員報酬の決定

会社設立から3か月以内に、期限のある判断が二つあります。どちらも、過ぎると取り返せません。
ひとつは、青色申告の承認申請書です。設立第1期目から青色申告の承認を受けようとする場合の提出期限は、設立の日以後3か月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日とのうち、いずれか早い日の前日まで。国税庁がタックスアンサーで示しています。2026年8月23日に確認しました。
出し忘れると、その期は白色申告になります。欠損金の繰越しができません。会社設立の初年度は赤字になることが多いので、これは痛い。
もうひとつは、役員報酬の決定です。定期同額給与のルールにより、会社設立から3か月以内に決めて、そのあと1年間は同額にする必要があります。

役員報酬の金額は、社会保険と所得税と法人税のバランスで決まります。高くすれば社会保険が増え、低くすれば法人税が増えます。
会社設立の費用の相場を4万円下げるために電子定款を選ぶのと、この判断とでは桁が違います。月10万円の差で、年間の社会保険料が18万円変わります。
そして、この判断は1年間やり直せません。会社設立の費用は払い直せますが、役員報酬は変えられない。
だから、会社設立の費用の相場を調べる時間の何倍かを、ここに使ってください。
そして、できれば税理士に相談してください。相談料が数万円かかっても、判断を間違えたときの損失のほうが大きいことがあります。
出典会社設立したら法人も青色申告の申請を!メリットや期限などをわかりやすく解説 | マネーフォワード クラウド会社設立 (マネーフォワード/2026年8月23日確認)
毎月:役員報酬・社会保険料・源泉所得税

役員報酬を出しはじめると、毎月同じ形の支出が発生します。
役員報酬そのもの、社会保険料の会社負担、そして源泉所得税の納付。この三つがセットです。
| 時期 | 支出 | 金額の例 |
|---|---|---|
| 25日ごろ | 役員報酬の振込(手取り) | 24万7,000円 |
| 翌月10日 | 源泉所得税の納付 | 8,000円 |
| 翌月末 | 社会保険料の納付 | 9万円(本人+会社) |
※ 金額は例です。標準報酬月額と扶養の状況で変わります。
会社から出ていくのは、合わせて月33万7,000円です。役員報酬30万円に、会社負担の社会保険料4万5,000円が乗っています。
厚生年金保険の保険料率は、日本年金機構が保険料額表で示しています。2026年8月23日に確認しました。健康保険と合わせると、会社負担は役員報酬のおおむね15%です。
会社設立の費用の相場が株式会社で16万円台からだとすると、役員報酬の半月分で相場を超えます。
それが12回。年間で414万円が、役員報酬関係だけで出ていきます。
ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。役員報酬をゼロにすれば、社会保険に入りません。
そのかわり、生活費を会社から取れません。それに、国民健康保険と国民年金に自分で入ることになります。世帯の状況によっては、そちらのほうが高くつきます。
それから、会社に利益が残れば法人税がかかります。役員報酬は損金になりますが、内部留保は課税されたあとのお金です。
この設計は、会社設立の費用の相場とはまったく別の話です。そして、金額はこちらのほうが大きい。
出典厚生年金保険の保険料 (日本年金機構/2026年8月23日確認)
年に数回:源泉所得税の特例納付と、算定基礎届

毎月の作業を減らす方法があります。源泉所得税の納期の特例です。
給与の支給人員が常時10人未満なら、年2回にまとめて納付できます。1月から6月までの分を7月10日に、7月から12月までの分を翌年1月20日に。国税庁がタックスアンサーで示しています。2026年8月23日に確認しました。
ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。手続きの回数が12回から2回に減ります。
そのかわり、半年分をまとめて払うことになります。役員報酬が大きいと、7月と1月の負担が重くなります。
月8,000円なら半年で4万8,000円。それくらいなら問題ありませんが、従業員が増えると数十万円になります。手元に残しておくつもりが使ってしまった、という事故が起きます。
それから、7月には算定基礎届があります。4月から6月の給与をもとに、9月からの社会保険料を決める手続きです。
役員報酬が変わっていなければ、社会保険料も変わりません。ただ、届出は毎年必要です。
- 7月10日源泉所得税の納付(納期の特例の場合)
- 7月10日ごろ算定基礎届の提出
- 翌年1月20日源泉所得税の納付(納期の特例の場合)
- 翌年1月31日法定調書と給与支払報告書の提出
これらの手続きに、費用はかかりません。時間がかかるだけです。
会社設立の費用の相場には含まれない部分ですが、自分でやるなら年に何日かを使うことになります。
社会保険労務士に頼めば、月数千円から。時間を金で買うかどうかの判断です。
それから、帳簿書類の保存も義務です。国税庁は帳簿書類等の保存期間を示しています。2026年8月23日に確認しました。紙で保存するなら場所が要りますし、電子で保存するなら要件があります。
会社設立の費用の相場には出てきませんが、書類を保管する場所も費用のうちです。事務所を借りていなければ、自宅に置くことになります。
出典No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例 (国税庁/2026年8月23日確認)
決算月と、その2か月後

会社設立から1年が経つと、最初の決算です。8月設立なら7月末が決算日になります。
法人税の申告期限は、原則として決算日から2か月以内です。7月末決算なら9月末までに申告して、納税します。
定款の定めがあれば、申告期限を延長する特例もあります。国税庁が申請の案内を出しています。2026年8月23日に確認しました。
この月に出ていくお金は、大きく三つです。
| 支出 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 法人住民税の均等割 | 7万円(月割り) | 赤字でも払います |
| 法人税・事業税など | 利益次第 | 赤字なら発生しません |
| 税理士の決算料 | 10万円から20万円ほど | 依頼した場合 |
※ 金額は2026年8月23日時点の一般的な目安です。
均等割は、赤字でも払います。標準税率での下限は年7万円。総務省が地方税制度の資料で示しています。2026年8月23日に確認しました。
会社設立の初年度が事業年度の途中から始まる場合は、月割りになります。8月設立で7月決算なら12か月なので、満額の7万円です。
税理士に決算を頼むなら、決算料が10万円から20万円ほどかかります。顧問契約があれば、そこに含まれることもあります。
会社設立の費用の相場が株式会社で16万円台からだとすると、決算料だけで相場と同じくらいになります。
自分でやれば0円ですが、別表の記入に何日かかかります。初年度は特に時間がかかります。
時間を金額に換算して、どちらが安いかを考えてください。
それから、申告が遅れると加算税と延滞税がかかります。無申告加算税は税額の15%から、延滞税は年率で計算されます。
会社設立の費用を数万円抑えても、申告を1か月遅らせたら消えてしまうことがあります。期限は守ってください。
赤字で税額がゼロでも、申告書は出します。出さないと青色申告の承認が取り消されることがあります。2期連続で期限内に申告しないと取り消しの対象です。
出典C1-16 申告期限の延長の申請 (国税庁/2026年8月23日確認)
1年分を合計すると、いくらになるか

ここまでを合計します。役員報酬を出す場合と出さない場合で、二通り出します。

役員報酬を出さなければ、設立後1年の固定費はおよそ11万円です。会社設立の費用の相場と同じくらいか、少し小さい。
役員報酬を月30万円出せば、1年で175万円を超えます。会社設立の費用の10倍です。
ただし、役員報酬は自分に払うお金です。外に出ていくわけではありません。社会保険料と税金だけが、本当に出ていくお金です。
それでも、会社の口座から見れば全部が出金です。資金繰りとしては、この金額を見ておく必要があります。
会社設立の費用の相場を調べて「20万円あれば会社が作れる」と考えると、設立の翌月から資金が足りなくなります。
最低でも、設立後1年分の固定費を上乗せして考えてください。役員報酬を出すなら、その分も。
日本政策金融公庫の調査では、開業費用の中央値は600万円でした。2026年8月23日に確認した数字です。会社設立の費用は、そのうちの3%ほどです。
入口の数字だけを見ないでください。
出典会社設立の費用はいくら?株式会社と合同会社の維持費もわかりやすく解説 (freee/2026年8月23日確認)
まとめ:設立の実費は1年で追い抜かれる

会社設立の後の最初の1年について、まとめます。
- 設立の月:証明書代と会計ソフト。数万円
- 3か月以内:青色申告の申請と役員報酬の決定。期限があります
- 毎月:役員報酬・社会保険料・源泉所得税
- 年数回:算定基礎届、法定調書。費用はかかりません
- 決算から2か月:均等割7万円と、税理士の決算料
会社設立の費用の相場は、株式会社で16万円台から、合同会社で6万円台から。設立後1年の固定費に、1年で追い抜かれます。
- 役員報酬なしの場合
- 設立後1年でおよそ11万円
- 役員報酬 月30万円の場合
- 設立後1年で175万円を超えます
- 均等割
- 赤字でも年7万円が下限。毎年かかります
- 社会保険の会社負担
- 役員報酬のおよそ15%。役員一人でも加入します
会社設立の費用を数万円抑えることに時間をかけるより、役員報酬をいくらにするかを考えるほうが、金額としてはるかに大きい。
そして、その判断は会社設立から3か月以内にしなければなりません。定期同額給与のルールがあるからです。
会社設立の費用の相場を調べている段階で、すでにこの締め切りに向かって時計が動いています。
独学で全部を押さえるのは、正直しんどい。任せられる相手を持っておくほうが、結局は安くつくことがあります。
この記事の内容は2026年8月23日時点のものです。制度は改正されます。個別の判断は、必ず税理士にご相談ください。
出典地方税制度|法人住民税 (総務省/2026年8月23日確認)
入口の数字だけで判断しないでください
会社設立の費用の相場は、株式会社で16万円台から、合同会社で6万円台から。この数字だけを見て会社設立を決めると、あとで足りなくなります。
毎年かかる費用のほうが大きい。均等割は赤字でも年7万円、社会保険の会社負担は役員報酬のおよそ15%。設立の実費は、1年で追い抜かれます。
この記事の内容は2026年8月23日時点のものです。制度は改正されます。出典としてリンクした情報で最新の内容を確かめ、判断そのものは税理士にご相談ください。
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