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会社設立 開業費

会社設立から開業までいくらかかるか。開業費用の平均975万円という数字の読み方

この記事は、こういう方に向けて書いています

会社設立の費用を調べていて、「開業費用の平均は975万円」といった数字を見て驚いた方に向けた記事です。会社設立の費用の相場は20万円前後だと聞いていたのに、桁が二つ違います。

この二つは、まったく別のものを数えています。片方は登記の実費、もう片方は事業を立ち上げるのにかかったお金の総額です。

この記事では、その差がどこから来るのかを、日本政策金融公庫の調査をもとに分解します。数字は2026年8月23日に確認したものです。

「開業費用」には二つの意味がある

「開業費用」には二つの意味があるを表したイラスト

開業費という言葉には、まったく違う二つの意味があります。ここを分けないと、数字を読み違えます。

ひとつは会計科目としての開業費です。会社設立の登記が完了してから営業を開始するまでに、特別に支出した費用。繰延資産として計上するものです。

もうひとつは、日常語としての開業費用です。事業を立ち上げるのにかかったお金の総額を指します。設備も、在庫も、運転資金も含みます。

会計科目の開業費と日常語の開業費用を並べた比較図
同じ言葉で、数えているものが違います

日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」によると、開業費用の平均値は975万円、中央値は600万円です。2026年8月23日に公表資料で確認しました。

この975万円は、右側の意味です。会計科目の開業費ではありません。

一方、会社設立の費用の相場として語られる株式会社およそ20万円、合同会社およそ10万円は、登記までの実費だけを指しています。

だから、この二つを並べても比べられません。数えている範囲が違うからです。

この記事で扱う数字この見出し以降では、日常語の開業費用、つまり立ち上げ費用の総額を扱います。会計科目の開業費の範囲は、同じカテゴリーの別の記事で扱いました。

では、975万円の中身は何なのか。会社設立の費用は、そのうちのどれくらいなのか。次に見ます。

出典新規開業に関する調査|日本政策金融公庫 (日本政策金融公庫総合研究所/2026年8月23日確認)

開業費用の平均は975万円、中央値は600万円

開業費用の平均は975万円、中央値は600万円を表したイラスト

日本政策金融公庫総合研究所は、1991年度から毎年「新規開業実態調査」を実施しています。2025年度の調査結果が2025年12月5日に公表されました。

この調査によると、開業費用の平均値は975万円、中央値は600万円です。2026年8月23日に公表資料で確認した数字です。

平均と中央値で375万円も差があります。大きく投資した人が平均を引き上げているということです。

開業費用の平均値と中央値、会社設立の費用を比べた棒グラフ
会社設立の費用は、立ち上げ費用全体のごく一部です

この図でわかるのは、会社設立の費用が、立ち上げ費用全体の2%程度でしかないということです。

会社設立の費用の相場を1万円下げるために何日も調べるのは、全体の0.1%を動かすために時間を使っていることになります。

もちろん、削れるものは削ったほうがよい。ただ、そこに時間をかけすぎると、本体を見落とします。

なお、この調査の対象は日本政策金融公庫が融資した企業です。融資を受けずに小さく始めた人は含まれていません。その分、金額は高めに出ていると考えられます。

また、調査対象には個人企業が57.0%、法人企業が43.0%含まれています。会社設立をした人だけの数字ではありません。

それでも、規模感をつかむには十分な資料です。会社設立の費用の相場だけを見ていると見落とす部分が、ここに出ています。

出典新規開業に関する調査|日本政策金融公庫 (日本政策金融公庫総合研究所/2026年8月23日確認)

分布を見ると、250万円未満が20.1%いる

分布を見ると、250万円未満が20.1%いるを表したイラスト

平均975万円という数字だけを見ると、会社設立をあきらめたくなるかもしれません。分布を見てください。

同じ調査によると、開業費用が250万円未満だった人が20.1%、250万円から500万円未満が21.7%。合わせて4割以上が500万円未満です。2026年8月23日に確認しました。

開業費用の分布(2025年度調査)
開業費用の区分 割合
250万円未満 20.1%
250万〜500万円未満 21.7%
500万〜1,000万円未満 29.7%
1,000万〜2,000万円未満 18.5%
2,000万円以上 10.0%

※ 日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2026年8月23日確認)。四捨五入のため合計が100%にならない場合があります。

そして、この調査資料には開業費用は長期的に少額化の傾向にあると書かれています。1991年度の平均は1,440万円でしたから、30年あまりで3分の2ほどになっています。

理由は書かれていませんが、店舗を持たない業態が増えたこと、設備を買わずに借りる方法が増えたことが影響していると考えられます。

会社設立の費用の相場は、この30年でそれほど変わっていません。登録免許税15万円は昔からです。変わったのは、その先の部分です。

つまり、立ち上げ費用を小さくできる余地が広がったということです。事務所を借りずに始める、在庫を持たずに始める。そういう選択肢が増えました。

会社設立の費用の相場が20万円前後で、開業費用の中央値が600万円。その差の580万円をどこまで削れるかが、実際の勝負どころです。

そこを削る方法のほうが、会社設立の費用を削る方法より、金額としてはるかに大きい。

出典新規開業に関する調査|日本政策金融公庫 (日本政策金融公庫総合研究所/2026年8月23日確認)

資金調達額の平均は1,219万円。7割近くが借り入れ

資金調達額の平均は1,219万円。7割近くが借り入れを表したイラスト

開業費用と合わせて見ておきたいのが、資金調達の内訳です。

同じ調査によると、開業時の資金調達額は平均1,219万円。うち金融機関等からの借り入れが平均827万円で67.9%、自己資金が平均279万円で22.9%です。2026年8月23日に確認しました。

つまり、開業費用の大半は借りたお金ということです。自己資金だけで始めている人は少数派です。

開業時の資金調達額の内訳を示した積み上げ図
7割近くが金融機関からの借り入れです

ここで、会社設立の費用との関係が出てきます。創業融資を受けるには、会社が存在していなければなりません。

だから、会社設立の費用は自己資金から出すことになります。借りたお金で会社設立の費用を払う、という順番にはなりません。

会社設立の費用の相場が株式会社で20万円前後だとして、それは自己資金の平均279万円のうちの7%ほど。自己資金でまかなえる範囲です。

ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。資本金を小さくすれば、用意する自己資金は減ります。資本金1円でも会社設立はできます。

そのかわり、創業融資の審査で自己資金の額を見られます。資本金が極端に小さいと、事業への本気度を疑われることがあります。取引先や金融機関からの見え方も変わります。

それに、資本金は運転資金でもあります。1円で設立すると、翌日から役員借入金で回すことになります。

会社設立の費用を抑えるために資本金を削るのは、手放すものが大きい選択です。そこは切り分けて考えてください。

出典新規開業に関する調査|日本政策金融公庫 (日本政策金融公庫総合研究所/2026年8月23日確認)

会社設立の費用と、開業費用の内訳を並べる

会社設立の費用と、開業費用の内訳を並べるを表したイラスト

開業費用600万円の中身を、項目に分けて考えてみます。業種によって配分は変わりますが、大まかな型はあります。

  • 会社設立の費用登録免許税・定款認証・専門家報酬。20万円前後
  • 設備・内装業種で最も差が出る項目。0円から数百万円
  • 在庫・仕入れ物を売る業種のみ。棚卸資産になります
  • 会計科目の開業費広告・研修・あいさつ回り。数万円から数十万円
  • 運転資金売上が立つまでの家賃・人件費・生活費。数か月分

この中で、会社設立の費用は最も小さい項目です。しかも金額が決まっているので、削れる幅も限られています。

一番大きいのは、設備と運転資金です。ここをどう設計するかで、必要な金額が数百万円変わります。

運転資金は見落とされがちです。売上が立つまでの数か月間、家賃も生活費も出ていきます。この期間を何か月と見るかで、必要額が変わります。

日本政策金融公庫の調査では、開業してから調査時点までの平均経過月数は15.5か月でした。1年以上経っても、まだ立ち上げの途中という会社が多いということです。

会社設立の費用の相場を調べる時間があるなら、運転資金を何か月分用意するかを決める時間に回したほうが、金額としては大きい。

それから、会計科目の開業費の部分。広告や研修は、繰延資産として計上できます。利益が出た年に落とせるので、初年度が赤字でも無駄になりません。

設備は固定資産で減価償却、在庫は棚卸資産。どれも、払った期に全額が費用になるわけではありません。

だから、資金繰りと損益は一致しません。600万円払っても、初年度の費用になるのはその一部です。

この感覚は、会社設立の費用の相場だけを見ていてもつかめません。

出典開業費とは?費用範囲や繰延資産・任意償却の仕訳方法と開業準備のコツ | iTSCOM for Business (イッツ・コミュニケーションズ/2026年8月23日確認)

立ち上げ費用を小さくする方法と、そのとき手放すもの

立ち上げ費用を小さくする方法と、そのとき手放すものを表したイラスト

立ち上げ費用を小さくしたいなら、会社設立の費用ではなく、設備と場所を見てください。そちらのほうが桁が大きい。

代表的な方法を挙げます。そのたびに、何を手放すかも書きます。

立ち上げ費用を小さくする方法と、そのとき手放すもの
方法 減る金額の目安 手放すもの
事務所を借りずバーチャルオフィス 月10万円→月数千円 来客対応、荷物の受け取り、口座審査での見え方
設備を買わずに借りる 初期費用が数百万円→月額 長く使うと割高になります
在庫を持たない業態にする 仕入れ資金がゼロに 扱える商品が限られます
ひとりで始める 人件費がゼロに できる仕事の量が限られます
合同会社にする 会社設立の費用が14万円ほど減る 知名度、上場、株式による資金調達

※ 金額は2026年8月23日時点の一般的な目安です。実際は条件によって変わります。

この表で、会社設立の費用に関わるのは一番下だけです。合同会社にすれば14万円ほど減りますが、他の項目に比べると小さい。

事務所を借りるかどうかは、月10万円の差です。1年で120万円。会社設立の費用の6倍になります。

だから、削る順番としては場所、設備、人、そして最後に会社設立の費用という順になります。

ただし、削れば削るほどよいわけではありません。手放したものが売上に効いていれば、削った意味がなくなります。

店舗が要る業種で店舗をやめれば、売上そのものが立ちません。そこは削る対象ではありません。

判断の軸は、その支出が売上に直結しているかどうかです。直結しているなら削らない。直結していないなら見直す。

会社設立の費用は、売上に直結しません。だから削ってよい項目です。ただ、金額が小さいので効果も小さい。

開業費用の中央値600万円のうち、会社設立の費用が20万円。残りの580万円のほうを見てください。

出典開業費とは?入れていいものや帳簿のつけ方、節税方法について解説|株式会社GLUG (株式会社GLUG/2026年8月23日確認)

立ち上げの費用より、毎年かかる費用のほうが効いてくる

立ち上げの費用より、毎年かかる費用のほうが効いてくるを表したイラスト

ここまで立ち上げの費用を見てきましたが、毎年かかる費用のほうが、長い目では大きくなります。

会社設立の費用は一度きりです。開業費用も一度きりです。それに対して、法人には毎年かかるものがあります。

  • 法人住民税の均等割赤字でも年7万円が下限。資本金と従業員数で増えます
  • 社会保険の会社負担役員報酬に対しておよそ15%。役員一人でも加入します
  • 税理士の顧問料依頼するなら年20万円から40万円ほど
  • 法人口座・会計ソフト年数万円ほど

均等割の年7万円は、会社設立の費用の相場が合同会社で6万円台であることを考えると、毎年それを超える額です。

社会保険はもっと大きい。役員報酬を月30万円にすると、会社の負担分だけで年間50万円を超えます。会社設立の費用の2倍から3倍が、毎年出ていきます。

10年続ければ、均等割だけで70万円。社会保険を合わせれば数百万円になります。開業費用の中央値600万円に匹敵する金額です。

会社設立の費用の相場を調べる方は多いのですが、この毎年の費用まで計算している方は少ない。

そして、この部分は設計で変えられます。役員報酬をいくらにするか、いつから出すか、資本金をいくらにするか。選び方で金額が変わります。

会社設立の費用は、選択の幅が狭い。登録免許税は決まっています。それに対して、設立後の費用は幅が広い。

だから、時間をかけるならそちらです。会社設立の費用の相場を調べる時間の何倍かを、設立後の設計に使ってください。

そして、その設計は論点が多すぎて、独学で全部を押さえるのは現実的ではありません。任せられる相手を持っておくほうが、結局は安くつくことがあります。

出典開業費とは?開業後に支払ったものは費用にできるのか解説! (SoVa/2026年8月23日確認)

まとめ:会社設立の費用は、立ち上げ費用の2%

まとめ:会社設立の費用は、立ち上げ費用の2%を表したイラスト

開業費用の数字について、まとめます。

  1. 開業費用の平均は975万円、中央値は600万円(2025年度調査)
  2. 250万円未満が20.1%、500万円未満で4割以上を占める
  3. 資金調達額は平均1,219万円、うち借り入れが827万円
  4. 会社設立の費用20万円前後は、立ち上げ費用全体の2%ほど
  5. 会計科目の開業費と、日常語の開業費用は別のものです

会社設立の費用の相場を調べている方に一番伝えたいのは、その金額は全体のごく一部だということです。

会社設立の費用
株式会社で16万円台から、合同会社で6万円台から
開業費用の中央値
600万円。うち会社設立の費用は3%ほど
削る順番
場所、設備、人、最後に会社設立の費用
毎年かかる費用
均等割7万円、社会保険は役員報酬の15%前後

会社設立の費用を削ることに意味がないとは言いません。削れるものは削ってください。電子定款にすれば4万円、合同会社にすればさらに14万円。

ただ、そこで止まらないでください。その先に、桁が二つ大きい話があります。

そして、その先には毎年かかる費用があります。均等割は赤字でも年7万円。社会保険の会社負担は役員報酬のおよそ15%。こちらは終わりません。

会社設立の費用の相場は、入口の数字です。入口だけを見て中に入ると、あとで足りなくなります。

この記事の数字は2026年8月23日に日本政策金融公庫の公表資料で確認したものです。調査は毎年更新されます。個別の判断は税理士にご相談ください。

出典新規開業に関する調査|日本政策金融公庫 (日本政策金融公庫総合研究所/2026年8月23日確認)

平均ではなく、中央値と分布を見てください

開業費用の平均975万円という数字は、大きく借りた人に引っ張られています。中央値は600万円で、250万円未満の人が20.1%います。

会社設立の費用の相場を調べている段階の方が見るべきは、平均ではなく分布のほうです。自分がどの層に入るかを考える。それだけで、必要な金額がだいぶ具体的になります。

この記事の数字は2026年8月23日に日本政策金融公庫の公表資料で確認したものです。調査は毎年更新されます。最新の数字は出典先でご確認ください。

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