会社設立を行政書士に依頼すると費用はいくらか。登記はできない、という前提から
この記事は、こういう方に向けて書いています
会社設立を行政書士に頼もうかと考えている方に向けた記事です。司法書士との違いが分からない、どこまでやってもらえるのかを知りたい、という段階を想定しています。
先に押さえておきたいのは、行政書士は設立登記の代理ができないという点です。定款の作成や電子定款の代行はできますが、法務局への申請の代理は司法書士と弁護士の業務です。
この記事では、頼める範囲と費用の考え方を整理します。実費の金額は2026年8月22日に一次情報で確認したものです。報酬は事務所によって異なりますので、公式ページでご確認ください。
行政書士に頼めること、頼めないこと

会社設立を行政書士に依頼すると、何ができるのか。業務範囲が法律で決まっています。
行政書士は、官公署に提出する書類や、権利義務・事実証明に関する書類の作成を業務としています。会社設立でいえば、定款の作成がこれにあたります。
電子定款の作成と電子署名の代行もできます。印紙代4万円を回避するために、この部分だけを依頼するというのが、実務ではよく使われる形です。
そして、許認可の申請書類の作成が行政書士の主な業務です。建設業、飲食業、古物商、人材派遣、旅行業。許認可が必要な事業では、設立の段階から関わってもらう価値があります。
一方、設立登記の申請の代理はできません。これを業として行えるのは、司法書士と弁護士だけです。
税務も同じです。税務署への届出、決算、申告。これらは税理士の業務です。
| やってもらいたいこと | 行政書士 | 司法書士 | 税理士 |
|---|---|---|---|
| 定款の作成 | できます | できます | — |
| 電子定款の代行 | できます | できます | — |
| 設立登記の申請の代理 | できません | できます | できません |
| 許認可の書類作成 | できます | — | — |
| 税務署への届出 | — | — | できます |
| 決算・申告 | — | — | できます |
※ 業務範囲は行政書士法・司法書士法・税理士法によって定められています。複数の資格を持つ方や、提携している事務所もあります。
この表でいちばん重要なのが、登記の代理ができないという行です。会社設立の最後の工程が登記ですから、ここを任せられないなら自分でやることになります。会社設立の費用の相場を比べる前に、ここを確かめてください。
会社設立の費用を考えるとき、この業務範囲の違いが選び方に効きます。登記まで任せたいのか、定款だけでよいのか。
以下、行政書士に頼む三つのパターンを見ていきます。
出典会社設立を行政書士に依頼するには?依頼にかかる費用や選び方をわかりやすく解説 (freee/2026年8月22日確認)
パターン①:電子定款の作成だけを頼む

行政書士への依頼でいちばん多いのが、電子定款の作成だけを頼む形です。
紙の定款を作ると、収入印紙4万円がかかります。定款は印紙税法の第6号文書で、税額は4万円。2026年8月22日時点で、国税庁の印紙税額の一覧表に記載されている内容です。
電子定款なら課税されません。紙の文書ではないからです。ただし、電子署名の環境を自分でそろえると4万円を超えることがあります。
そこで、電子定款の作成だけを行政書士に依頼します。依頼料が4万円より安ければ差額が残ります。
この形なら、登記の代理は関係ありません。定款を受け取ったら、認証と登記は自分で進めます。行政書士が登記の代理をできないことが、問題になりません。

判断の基準は4万円です。依頼料の相場がこれより安ければ差額が残り、超えるなら紙の定款で印紙を貼るほうが安く済みます。
依頼料は事務所によって異なりますので、この記事では相場として一つの数字を挙げません。複数の事務所の公式ページでご確認ください。
なお、株式会社の場合、電子定款を作ったあとに公証役場で認証を受けます。この認証の手続きまで代行してもらえるかも、依頼の範囲として確かめてください。
合同会社なら定款認証がありませんので、電子定款を受け取ったらそのまま登記の添付書類として使えます。判断が単純になります。
出典電子定款と印紙税の関係|4万円を節約する方法 (石畠行政書士事務所/2026年8月22日確認)
パターン②:定款の作成から頼む

ふたつ目が、定款の作成から頼む形です。会社の内容を伝えれば、行政書士が定款を作ります。
定款には絶対的記載事項があります。目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、発起人の氏名または名称および住所。欠けていると定款が効力を持ちません。
これを自分で確かめるのは、初めてなら手間がかかります。専門家に作ってもらえば、この不備の可能性が下がります。
とくに事業目的の書き方は、行政書士に相談する価値があります。許認可が必要な事業では、目的の書き方が要件に絡むからです。
また、あとから事業目的を追加するには変更登記が必要で、登録免許税がかかります。設立の段階で将来やる事業まで含めて書いておくほうが安く済みます。ここも相談できる部分です。
ただし、登記の代理はできません。定款ができたら、認証と登記は自分で進めることになります(司法書士と連携している事務所なら、そちらに引き継がれます)。

会社の内容を決めるのは自分です。行政書士に頼んでも、ここは変わりません。決まっていないと、依頼が進みません。
会社設立の費用を相場より抑えたいなら、この範囲までを頼んで登記は自分でやるという選び方があります。定款の不備は避けつつ、報酬は抑えられます。
なお、行政書士が作った定款であっても、株式会社なら公証役場での認証が必要です。多くの公証役場が事前に案文を確認してくれますので、その手続きも含めて相談してください。
出典会社設立において行政書士に依頼できる業務と費用を解説 (FUTOKORO/2026年8月22日確認)
パターン③:許認可とあわせて頼む

三つ目が、許認可とあわせて頼む形です。行政書士がいちばん役に立つ場面です。
建設業、飲食業、古物商、人材派遣、旅行業、産業廃棄物処理。許認可が必要な事業では、会社設立と許認可の申請がセットになります。
ここで問題になるのが、定款の事業目的の書き方です。目的の書き方が許認可の要件に合っていないと、許認可の申請の段階で定款の変更を求められることがあります。
定款を変更するには変更登記が必要で、登録免許税がかかります。会社設立の費用を相場より節約したつもりが、あとから費用がかかることになります。
また、許認可には事業所の要件が定められていることがあります。本店の場所や設備の条件です。本店の移転にも変更登記が必要ですから、設立の前に確かめておく必要があります。
さらに、許認可によっては資本金や純資産の額に要件があります。資本金を小さくして会社設立の費用を抑えたら、許認可の要件を満たさなかった、ということが起こりえます。

許認可が絡むなら、会社設立の費用の相場だけで自分でやると決めないでください。設立そのものより、そのあとの許認可のほうが難しいことがあります。
行政書士に相談する費用の相場は事務所によって異なります。会社設立の手続きと許認可の申請がセット料金になっている場合もありますので、公式ページでご確認ください。
この場合、設立の費用と許認可の費用を分けて見積もるのではなく、合わせた総額で考えてください。セットのほうが安くなることがあります。
出典会社設立の相談は行政書士にすべき?費用やメリット、選び方まで解説 (マネーフォワード/2026年8月22日確認)
行政書士と司法書士、どちらに頼むか

行政書士と司法書士、どちらに頼めばよいのか。必要な範囲で決まります。
登記まで一本で頼みたいなら司法書士です。設立登記の申請の代理ができるのは司法書士と弁護士だけですから、これは動きません。
許認可が絡むなら行政書士です。定款の事業目的の書き方が要件に絡みますし、許認可の申請書類も行政書士の業務です。
電子定款の作成だけなら、どちらでも構いません。行政書士でも司法書士でもできます。依頼料で選べばよいことになります。
| 自分の状況 | 向いている相手 | 理由 |
|---|---|---|
| 登記まで任せたい | 司法書士 | 登記の代理ができるのは司法書士と弁護士だけです |
| 許認可が必要な事業 | 行政書士 | 事業目的の書き方が要件に絡みます |
| 電子定款だけ頼みたい | どちらでも | 依頼料で選べます |
| 設立後の税務も頼みたい | 税理士(提携先を含む) | 税務は税理士の業務です |
| 登記も許認可も | 連携している事務所 | 窓口が一つになります |
※ 業務範囲は各士業の法律で定められています。複数の資格を持つ方や、提携している事務所もあります。
両方必要な場合は、連携している事務所を探すのが効率的です。行政書士事務所が司法書士と連携していることも、その逆もあります。
窓口が一つになれば、やり取りの手間が減ります。ただし、実際に登記を代理するのが誰かは確かめてください。
会社設立の費用の相場を比べるとき、行政書士と司法書士の報酬を単純に並べても意味がありません。やってもらえる範囲が違うからです。
まず会社設立で必要な範囲を決めて、それに対応できる相手を探す。この順序で進めてください。相場を調べるのはそのあとです。
出典会社設立を司法書士に依頼するメリットは?費用相場や他士業との違い、選び方を解説 (リーパル会計事務所/2026年8月22日確認)
費用の考え方:実費と報酬を分ける

行政書士に依頼したときの費用も、実費と報酬の二層でできています。
実費は、登録免許税、定款認証の手数料、定款の謄本代、収入印紙、証明書の交付手数料。誰が手続きをしても同じです。2026年8月22日に一次情報で確認した金額です。
株式会社を電子定款で会社設立するなら16万7,000円前後、合同会社なら6万円。行政書士に頼んでも、この金額は変わりません。
報酬は行政書士が受け取る対価です。事務所が決めているので、事務所によって違います。この記事では金額を示しません。
料金ページを見るときは、「別途実費」という表記があるかどうかを確かめてください。表示された金額が報酬だけなのか、実費込みなのかで、支払う総額が十数万円変わります。
そして、電子定款に対応しているかどうかも確かめてください。対応していれば印紙代4万円がかかりません。報酬が4万円高くても、印紙代が消えれば同じことです。
追加費用の条件も確かめてください。事業目的の数が多い場合、許認可の申請が複雑な場合に加算されることがあります。料金ページの注記を読んでください。
会社設立の費用の相場を比べるときは、同じ範囲・同じ条件で見積りを取るのが確実です。一般論としての相場を探すより、自分の条件での金額のほうが役に立ちます。
なお、行政書士の登録は各都道府県の行政書士会で確認できます。資格の有無は確かめられます。
出典商業・法人登記申請手続 (法務局/2026年8月22日確認)
行政書士に頼まない場合の選択肢

行政書士に頼まない場合の選択肢も確かめておきます。
会社設立の定款は自分でも作れます。絶対的記載事項を確かめて、書くだけです。法務局や公証役場が案内を出していますし、書式の例も公開されています。
株式会社の場合、多くの公証役場が事前に定款の案文を確認してくれます。費用はかかりません。この事前確認を使えば、不備の多くは見つかります。
合同会社の場合は定款認証がありませんので、この確認の機会がありません。自分で確かめるか、専門家に見てもらうことになります。
電子定款についても、自分で環境をそろえれば作れます。電子証明書、読み取る機器、電子署名に対応したソフト。ただし一から用意すると4万円を超えることがあります。
許認可については、所管の官庁が申請の手引きを出していることがほとんどです。自分で調べて申請することもできます。
ただし、許認可の要件は細かく、業種によって大きく違います。自分で調べる時間と、行政書士の報酬の相場を比べて判断してください。
会社設立の費用の相場を下げたいなら、自分でやるのが確実です。報酬が0円になります。ただし、実費は変わりません。
中間の選び方もあります。定款の作成だけ頼む、電子定款の作成だけ頼む、許認可だけ頼む。全部か0かではありません。
出典会社設立手続きは自分でできる?かかる費用や必要な手続きを解説 (弥生/2026年8月22日確認)
まとめ:登記はできない。定款と許認可が本領です

会社設立を行政書士に依頼したときの費用について、まとめます。
- 設立登記の代理はできません。これを業として行えるのは司法書士と弁護士だけです。登記まで任せたいなら、連携があるかを確かめてください。
- 定款の作成と電子定款の代行はできます。印紙代4万円を回避するために、この部分だけを頼むのが実務では多い形です。
- 許認可の書類作成が本領です。定款の事業目的の書き方が要件に絡みますので、設立の段階から相談する価値があります。
- 費用は実費と報酬の二層。実費は誰に頼んでも同じで、比べるのは報酬だけです。
- 「別途実費」の四文字を探してください。株式会社なら16万7,000円前後、合同会社なら6万円を足すことになります。
- 電子定款に対応しているかを確かめてください。対応していれば印紙代4万円がかかりません。
実費の金額を整理します。いずれも2026年8月22日に一次情報で確認したものです。登録免許税は株式会社が下限15万円、合同会社が下限6万円。定款認証の手数料は1万5,000円から5万円。定款の謄本は1枚250円。紙の定款の収入印紙は4万円。
これらは改定されます。必ずリンク先の一次情報で確かめてください。
報酬の金額は、この記事では示していません。事務所が自由に決めているためです。同じ範囲で複数の見積りを取ってください。
会社設立の費用の相場を比べるとき、行政書士と司法書士の報酬を単純に並べても意味がありません。やってもらえる範囲が違います。まず会社設立で必要な範囲を決めてください。
この記事は一般的な費用の解説であり、個別の見積りではありません。報酬は各事務所の公式ページでご確認いただき、判断そのものは行政書士・司法書士にご相談ください。
出典会社設立を行政書士に依頼した場合の費用相場は?行政書士の業務範囲についても解説 (SoVa/2026年8月22日確認)
登記まで頼みたいなら、連携があるかを確かめてください
行政書士に会社設立を頼む場合、登記まで一本で任せられるかどうかを先に確かめてください。行政書士自身は登記の代理ができませんので、司法書士との連携が必要になります。
そして、行政書士がいちばん役に立つのは許認可が必要な事業です。定款の事業目的の書き方が許認可の要件に絡みますので、設立の段階から相談する価値があります。
この記事の実費の金額は2026年8月22日時点のものです。手数料も税率も改定されます。報酬は各事務所の公式ページでご確認いただき、判断そのものは専門家にご相談ください。
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