会社設立でそろえる印鑑の費用。3本セットの相場と、素材で変わる金額
この記事は、こういう方に向けて書いています
会社設立の準備を進めていて、印鑑をどう用意すればいいのかで迷っている方に向けた記事です。3本セットで売られているけれど、全部必要なのか。
会社設立の費用の相場の中では小さな項目ですが、数千円から数万円まで幅があります。削ろうと思えば削れる部分です。
この記事では、必要な印鑑と金額の幅を整理します。内容は2026年8月23日に確認したものです。個別の判断は司法書士にご相談ください。
会社設立で使う印鑑は、三種類

会社設立でそろえる印鑑は、一般に三種類です。代表者印、銀行印、角印。
代表者印は、登記所に届け出る印鑑です。会社の実印にあたります。丸い形で、外側に社名、内側に「代表取締役印」などを彫るのが一般的です。
銀行印は、法人口座を作るときに金融機関へ届け出る印鑑です。代表者印と同じものを使うこともできますが、分けるのが一般的です。
角印は、請求書や見積書に押す印鑑です。会社の認印にあたります。四角い形で、社名だけを彫ります。

会社設立の費用の相場としてよく見る金額には、この3本セットの代金が含まれていることがあります。
株式会社の会社設立の費用の相場が20万円前後と言われるとき、そのうち1万円から2万円が印鑑代というのが一般的な構成です。
以下、それぞれの金額と、削れる部分を見ていきます。
会社設立の費用の相場の中では小さな項目ですが、選び方で数万円変わります。
それから、印鑑は商号が決まらないと発注できません。社名を彫るからです。会社設立の準備の中で、商号を決めるのは早い段階ですが、そこから発注して届くまでに数日かかります。
急いで会社設立をしたい場合、この数日が意外に効きます。定款も登記申請書も、商号が決まれば作れますが、印鑑だけは物理的に待つ時間が必要です。
会社設立の費用の相場を調べるのと並行して、商号を早めに決めておくと、全体の日程が縮まります。
出典よくあるご質問等<商業・法人登記関係>:法務局 (法務局/2026年8月23日確認)
代表者印の費用と、サイズの決まり

代表者印は、登記所に届け出る印鑑です。大きさに決まりがあります。
辺の長さが1センチメートルを超え、3センチメートル以内の正方形に収まるものでなければなりません。小さすぎても大きすぎても受け付けられません。
印鑑店で「法人実印」「代表者印」として売られているものは、この基準に合わせて作られています。サイズは18ミリが一般的です。
金額は、素材によって変わります。柘(つげ)なら数千円、黒水牛なら1万円前後、チタンなら2万円以上というのが一般的な相場です。
| 素材 | 代表者印の金額の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 柘(つげ) | 2,000円から5,000円ほど | 一番安い。木材なので摩耗します |
| 黒水牛 | 5,000円から1万円ほど | 硬く、欠けにくい |
| オランダ水牛 | 8,000円から1万5,000円ほど | 模様が入ります |
| チタン | 1万5,000円から3万円ほど | 摩耗しません。重い |
※ 2026年8月23日時点の一般的な目安です。販売店とサイズによって変わります。
会社設立の費用の相場を抑えたいなら、柘を選べば数千円で済みます。
ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。柘は木材なので、長く使うと摩耗します。
印影が変わってしまうと、印鑑を改めて届け出る必要が出ることがあります。手続きの手間がかかります。
といっても、代表者印を押す機会はそれほど多くありません。登記のとき、重要な契約のとき。年に何回かです。
摩耗するほど押すことは、小さな会社ではまずありません。柘で十分だという判断は合理的です。
チタンを選ぶ理由があるとすれば、印影の精度と、持ったときの満足感でしょう。会社設立の費用の相場に対して数万円の差なので、そこは好みです。
それから、書体にも選択肢があります。篆書体、印相体、古印体。代表者印には篆書体か印相体が使われることが多い。読みにくい書体のほうが偽造されにくい、という考え方です。
書体で金額が変わることは、あまりありません。同じ素材なら同じ値段というのが一般的です。会社設立の費用の相場に影響する要素ではありません。
出典よくあるご質問等<商業・法人登記関係>:法務局 (法務局/2026年8月23日確認)
銀行印と角印は、あとから作れる

銀行印は、法人口座を作るときに金融機関へ届け出る印鑑です。
代表者印と同じものを使うこともできます。分けるのが一般的ですが、法律上の決まりではありません。
分ける理由は、リスクの分散です。代表者印を紛失したときに、口座まで危なくなるのを避けます。
金額は代表者印より少し安く、柘なら1,500円から4,000円ほど、黒水牛なら4,000円から8,000円ほどが目安です。サイズは16.5ミリか18ミリが一般的です。
角印は、請求書や見積書に押す印鑑です。四角い形で、社名だけを彫ります。サイズは21ミリか24ミリが一般的。
角印には法的な決まりがありません。押さなくても請求書は有効です。ただ、日本の商習慣では押してあるほうが自然に見えます。
- 代表者印登記所に届け出ます。会社設立の直後に要ります
- 銀行印法人口座を作るときに要ります。登記の後です
- 角印請求書を出すときに要ります。売上が立ってからです
- ゴム印住所や社名のスタンプ。なくても困りません
この順番を見ると、必要になる時期がずれていることがわかります。
会社設立の費用の相場を抑えたいなら、まず代表者印だけを作る。銀行印と角印は、必要になったときに足せばよい。
ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。3本セットで買うほうが、1本ずつ買うより安いことが多い。
そのかわり、使わない印鑑を先に買うことになります。事業が立ち上がらなければ、角印は一度も使わないかもしれません。
セット価格の割引が数千円程度なら、必要になってから買うほうが確実です。会社設立の費用の相場を下げたいなら、そちらを選んでください。
ただし、あとから買い足すと書体や素材がそろわないことがあります。同じ店で買えば揃いますが、店が変われば印象が変わります。
そこを気にするなら、最初にセットで買っておくほうがよい。会社設立の費用の相場に対して数千円の差ですから、そこは判断です。
出典【読むだけで分かる】会社設立時の資本金払込完全ガイド (GMOあおぞらネット銀行/2026年8月23日確認)
そもそも印鑑を作らないという選択がある

ここが、この記事で一番大事な部分です。登記所への印鑑の提出は、任意になりました。
法務省が案内しています。令和3年2月15日から、登記の申請をオンラインで行う場合は、登記所への印鑑の提出が任意です。2026年8月23日に確認しました。
つまり、オンラインで会社設立の登記を申請すれば、代表者印を作らなくても登記できます。
ただし、条件があります。同じ案内には、「登記の申請を書面で行う場合は、申請書に登記所に提出している印鑑を押印する必要があるため、従来どおり印鑑を提出していただく必要があります」と書かれています。

ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。印鑑を作らなければ、会社設立の費用が数千円から数万円下がります。
そのかわり、印鑑証明書が発行されません。取引先から求められたときに出せません。
印鑑証明書は、不動産の取引、金融機関との契約、一部の許認可などで求められます。使う場面がある業種なら、作っておくほうが無難です。
それから、書面で登記を申請するなら印鑑が必要です。オンライン申請には電子証明書などの準備が要るので、そこも手放すものになります。
会社設立の費用の相場を数千円下げるために、印鑑証明書を出せない会社にする。そのトレードオフを理解したうえで選んでください。
多くの場合は、代表者印を作っておくほうが無難です。数千円の話ですから。
出典法務省:商業登記規則が改正され,オンライン申請がより便利になりました(令和3年2月15日から) (法務省/2026年8月23日確認)
印鑑証明書の交付手数料

印鑑を届け出ておくと、印鑑証明書を取れます。会社の実印を証明する書類です。
交付手数料は、書面請求で500円、オンライン請求・送付で450円、オンライン請求・窓口交付で420円。2026年8月23日に確認した金額です。
会社設立の直後は、何通か必要になることがあります。法人口座の開設、許認可の申請、取引先への提出。
| 請求の方法 | 印鑑証明書 | 登記事項証明書 |
|---|---|---|
| 書面請求 | 500円 | 600円 |
| オンライン請求・送付 | 450円 | 520円 |
| オンライン請求・窓口交付 | 420円 | 490円 |
※ 商業・法人登記の証明書の金額です(2026年8月23日確認)。
会社設立の費用の相場を計算するときに、この証明書代が抜けていることがあります。数百円ずつですが、何通か取ると数千円になります。
ここで一つ、抑えることで手放すものにも触れておきます。オンライン請求のほうが1通あたり50円から110円安くなります。
そのかわり、申請者情報の登録が必要です。一度きりの取得なら、法務局の窓口で書面請求したほうが早い。
会社設立の直後は、登記事項証明書と印鑑証明書を何通か取ることになります。税務署、都道府県税事務所、市区町村、年金事務所、銀行。
それぞれに提出するので、合わせて5通から10通になることもあります。数千円です。
会社設立の費用の相場に、この分を足しておいてください。印鑑代とは別にかかります。
出典よくあるご質問等<商業・法人登記関係>:法務局 (法務局/2026年8月23日確認)
印鑑の勘定科目と、会社設立の費用としての扱い

買った印鑑を、帳簿でどう扱うか。消耗品費または創立費です。
会社設立の登記が完了する前に買っているので、創立費に入れるのが素直です。会社設立のための支出だからです。
ただ、金額が小さければ消耗品費でも構いません。税額は変わりません。
高価な印鑑を作った場合は、資産に計上するという考え方もあります。10万円を超えるようなものなら、税理士に確認してください。
会社設立の費用の相場からすると、印鑑で10万円を超えるのは例外的です。多くの場合は消耗品費か創立費で済みます。
- 柘の3本セット5,000円ほど。消耗品費または創立費
- 黒水牛の3本セット1万5,000円ほど。同上
- チタンの3本セット5万円ほど。同上
- 10万円を超えるもの資産に計上する場合があります
それから、印鑑の代金には消費税がかかります。登録免許税や定款認証の手数料と違って、これは課税取引です。
1万円の印鑑なら、消費税込みで1万1,000円。会社設立の費用の相場を計算するときに、この分を忘れないでください。
会社設立の費用のうち、消費税がかかるのは印鑑と専門家報酬くらいです。役所に払う分は非課税か不課税です。
領収書は取っておいてください。個人名でも構いません。会社設立の前に買っているので、個人名になるのが普通です。
捨ててしまうと、創立費として計上できません。数千円ですが、落とせるものは落としてください。
会社設立の費用の相場を調べているときは、払う金額だけを見ています。払ったあとに帳簿へ載せるところまでが、費用の話です。
印鑑代のような小さな支出ほど、領収書を捨てがちです。会社設立の準備を始めたら、封筒をひとつ用意して全部そこに入れてください。分類は後回しで構いません。
出典法人設立時の創立費・開業費とは?/範囲や仕訳・償却期間は? (御影税理士法人/2026年8月23日確認)
会社設立の費用全体の中で、印鑑はどれくらいか

会社設立の費用の相場の中で、印鑑代がどれくらいを占めるかを見ておきます。

この図でわかるのは、印鑑を柘にするかチタンにするかで、会社設立の費用が4万5,000円変わるということです。
会社設立の費用の相場が16万円台から17万円台だとすると、印鑑代は全体の3%ほど。チタンにすれば20%を超えます。
だから、会社設立の費用を抑えたいなら、印鑑は安いものを選ぶというのは合理的です。
ただ、削れる幅は数万円です。事務所を借りるかどうかの月10万円と比べれば、小さい。
そして、印鑑は一度買えば長く使います。会社設立の費用の中では珍しく、あとに残るものです。
登録免許税15万円は払ったら消えますが、印鑑は手元に残ります。そう考えると、少し良いものを選ぶ理由もあります。
ここは好みの領域です。会社設立の費用の相場を厳密に抑えたいなら柘、長く使うものにこだわりたいならチタン。
どちらを選んでも、会社設立の費用の総額を大きく左右する項目ではありません。
出典会社設立の費用はいくら?株式会社と合同会社の維持費もわかりやすく解説 (freee/2026年8月23日確認)
まとめ:まず代表者印だけ、素材は好みで

会社設立の印鑑の費用について、まとめます。
- 会社設立で使う印鑑は、代表者印・銀行印・角印の三種類
- 最初に要るのは代表者印だけ。銀行印と角印はあとから足せます
- 代表者印は1センチメートル超3センチメートル以内の正方形に収まるサイズ
- 素材によって数千円から3万円ほどまで幅があります
- オンラインで登記を申請するなら、印鑑の提出は任意です
会社設立の費用の相場は、株式会社で16万円台から、合同会社で6万円台から。印鑑代はそこに数千円から数万円が乗ります。
- 代表者印の相場
- 柘で2,000円から5,000円、チタンで1万5,000円から3万円
- 3本セット
- 5,000円から5万円ほど。素材によります
- 印鑑証明書
- 1通500円(書面請求)
- 提出の任意化
- オンライン申請なら任意。書面申請なら必要です
会社設立の費用の相場を抑えたいなら、柘の代表者印を1本だけ作る。数千円で済みます。
ただし、削れる幅は数万円です。会社設立の費用全体から見れば、大きな項目ではありません。
そして、会社設立の費用より大きいのは設立後に毎年かかる費用です。法人住民税の均等割は赤字でも年7万円、社会保険の会社負担は役員報酬のおよそ15%。
会社設立の費用を数千円抑えることに時間をかけるより、設立後の設計に時間をかけたほうが、総額では効いてきます。
この記事の内容は2026年8月23日時点のものです。制度は改正されます。個別の判断は、司法書士または税理士にご相談ください。
出典法務省:商業登記規則が改正され,オンライン申請がより便利になりました(令和3年2月15日から) (法務省/2026年8月23日確認)
全部そろえる必要はありません
3本セットで売られていますが、最初に要るのは代表者印だけです。銀行印は法人口座を作るとき、角印は請求書を出すときに要ります。
会社設立の費用の相場を抑えたいなら、まず代表者印だけを作るという選択があります。あとから足せます。
この記事の内容は2026年8月23日時点のものです。制度は改正されます。判断そのものは司法書士にご相談ください。
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